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あらゆることに「無知」の姿勢で臨むことは、変化の激しい現代において、未来を発見していくために重要な能力です。「知らない」というのは恥ずかしいことではなく、可能性に満ちた状態なのです。
知っている(と思いこんでいること)から開放され、無知の姿勢で物事に対峙する方法を本書から学びましょう。
「知らない」は恥ずかしいことなのか?
一般的に、物を知らないことは恥ずかしいことだと思われています。学校でも職場でも、知識が豊富な人は周囲から尊敬のまなざしを向けられ、無知な人は馬鹿にされたり、無能と見られたりする傾向にあります。
しかし知識があることは、ときに新たな学びと成長の足枷になりかねません。「知っていること」に焦点を置くあまり、知っていることを疑ったり、知らないと認めたりすることができなくなってしまうからです。
そもそも、変化のスピードが急速な現代において、私たちの知っていること、知っていると思っていることは、どんどん無価値・不正確になっていきます。
そうした中、既知の情報のみで「知っている」と思い込んでしまうと、新しい知と出会える可能性を閉め出してしまうことにもなります。
既知と未知の境界線に立たされたとき、人は往々にして既存の知識に頼りがちですが、「それはすでに有効でも正確でもないかもしれない」ということは、常に念頭に置いておかなければならないのです。
今回紹介する『”無知”の技法 Not Knowing』は、「知らない」という姿勢で物事に対峙することの重要性と、それによって広がる未知の可能性について教えてくれる一冊です。
本書を読んで、「知っている」(と思い込んでいる)ことに無知の姿勢で臨む方法はもちろん、まったく知らない「未知」の状況においても、恥ずかしさや恐怖心を抱くことなく、その可能性を楽しめるようになりましょう。
「知らない」ことのもつ可能性とは?
「知らない」という姿勢で臨むというのは、すでに知っていることをすべて捨てろということではありません。「既存の知識に縛られない余白へ踏み込む」という意味です。
これまでは「何でもわかっている」ように見せた方が優秀と思われていたけれど、変化の急速な現代においては、むしろ「知らない」という姿勢で臨むことの方が、新しい学びや知識を得るために重要となってきています。
なぜなら知識が「ある」とみなすことは、知識が「ない」ことに潜んでいる可能性を閉め出してしまうからです。
固定の起点に立たないからこそ、あらゆることに可能性が開かれ、まったく想像していなかったような新しい発見に結びつきます。
「知らない」ということは可能性に満ちた状態なので、恥ずかしがったり、自分は無能かもしれないと恐怖心を抱く必要はないのです。
「わからない」と認めるからこそ、ものを学べるのだ。知らないという闇は、新たな光を呼びこむ自由と余白とを差し出している。(中略)知らないという状態における「知識の不在」は、可能性に満ちた不在なのだ。(P.134)
とくにこれからのビジネスリーダーにとって、未来のチャンスを発見していくためには、過去の経験だけに頼って状況を「把握する」のではなく、目の前に広がるものを「察知する」能力が求められます。
スペインのマドリードにあるIEビジネススクールで企業家的経営学を教えるジョセフ・ピストルイ教授は、「それまでの知を手放し、『自分はこれを知らない』ということを許容できるか。これは現代のリーダーシップとマネジメントにおける重要な視点だ」と語っています。
「知らない」を「ない」でとらえるのをやめ、そこには新しい知と出会える機会と可能性が「ある」のだと、前向きにとらえられるようになりましょう。
では、どうすればあらゆる物事に「無知」の姿勢で臨めるようになるのか。
本書では、読者自身がその方法を見出すために、数多くの「問いかけ」と「実験」が紹介されています。ここでは5つの実験をピックアップして紹介します。
無知の姿勢を手に入れる5つの「実験」
1. 教える
自分が得意なことを、それについて何もしない人に話す・教えることで初心に帰るという実験です。
共通言語のない相手に対して、専門用語を使いすぎることなく、シンプルに伝えるよう自分に課すことで、よく知っているものにあらためて目を向け、もはや不要になっていた部分に気づいたりする効果が期待できます。
2. 耳を傾ける
1日に交わすすべての会話において、相手が話しているときには決して口を挟まず、言いたいことを言い終わるまで真剣に耳を傾けるという実験です。
相手の言う言葉、口調、姿勢、表情に好奇心をもつ。その言葉が自分にどう響くか、身体の中でどんな感覚が呼び起こされたか、意識する。(P.345)
割って入りたい、善悪を評価したい、判決を下したいという欲求を抑え、相手に100%の意識を向けることで、発想や可能性を共有しやすい連帯の場をつくり出すことができます。
3. 部屋の中に象を呼ぶ
目の前に置きていることを起きているままに受け入れる、即興力を高める実験です。
たとえば誰かが「部屋の中に象がいる」と言い出したとき、「いや、いないじゃん」と言ってしまうと話はそこで終わってしまいます。しかしこれを「振り」と考えて、別の誰かが「そう。そしてその象が突進してくる!」と言い出したら、そこから芝居がはじまり、即興によって物語が動き出していきます。
言われたことを肯定し(「そう」)、自分の考えを足してみる(「そして、」) 双方が互いの意見を聞きつつ、新しいものを共同で生み出せるなら、それは真に創造的な会話となるだろう。(P.346)
4. さまざまな仮説を立てる
なじみの環境の中で、問題をひとつ、あるいは状況をひとつ選び、それに対して思いつく限りの仮説を考えてみるという実験です。
たとえば、レストランで男女二人連れを見かけたとして、彼らはどんなふうにこの店に来たのか、兄妹か、いとこ同士か、それとも恋人同士なのかなど、状況に対して多角的な視点をもち、結論に飛びつきすぎるのを防ぐプロセスを体験します。
5. 90日のトライアルを実施する
何か新しいことをはじめるとき、まずは90日間のお試し期間をもつという実験です。
最初から「うまくいかない」と決めつけてしまうと、成功のポテンシャルが開く前にアイデアを殺すことになり、変化を阻んでしまいます。
成功するかどうか不明確なら、3ヶ月限定で試験運用してみて、うまくいかなければ継続しなければいいと考えましょう。90日あれば、アイデアを軌道に乗せて有効性を確かめるには十分です。
まとめ
複雑で、曖昧で、不確実な現代を生き抜くために、「知らない」という姿勢で臨むことは非常に重要な意味を持っています。
ここでは極めて簡易的にまとめましたが、本書は350ページを超えるボリュームで数々の研究結果や具体的事例をもとに、「無知」の持つ可能性について論じられています。
ぜひ手にとって読んでみてください。
モデルプロフィール
・名前 :森あんな
・生年月日 :1994.3.21
・出身 :千葉
・職業 :モデル、タレント
・Twitter :@_morianna
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