こんにちは、ふみやです。
誰もが「コミュニケーションをうまく取れるようになって、より良い人間関係を築きたい」と願っています。しかしどうすればコミュニケーションがうまくなるのか、何が問題なのかを理解している人は多くありません。
- しゃべるのは得意なのに信頼関係が築けていない。
- 内気だからコミュニケーションはうまくできない。
- 聞いているつもりのに「聞いていない」と言われる。
職場や家庭などで、こんな悩みを感じたことはありませんか? そんなコミュニケーションの悩みを根本から解決したい人におすすめの本が、『「聞く力」こそが最強の武器である』です。
著者の國武大紀氏は、元外交官として国際交渉の第一線で活躍し、外務省から最高の人事評価を得た人物。その後、組織心理学の修士号を取得し、現在はリーダーシップ開発や組織変革を専門とするコーチ兼コンサルタントとして多数の経営者やリーダーの育成を支援しています。
そんな國武氏は、人間関係がうまくいかない理由は「聞く力」の欠如にあると説いています。この「聞く力」こそが、コミュニケーションにおいて最も重要な能力なのです。
「コミュニーケーションがうまくいかない理由がわからない」という人は、コミュニケーション能力を間違って理解しているかもしれません。今回は、本書を読んで僕が気付かされた「コミュニケーション能力の5つの誤解」をまとめました。
コミュニケーション能力の5つの誤解
①話好きはコミュニケーション上手?
コミュニケーション能力が高い人の条件とは何か? この問いに対して「話すのが好き」「話がうまい」と考える人は多いと思います。しかし実際はそうとは限りません。むしろ話すことが好きな人は、次のような失敗に陥りやすくなります。
- 相手の話を遮る。
- すぐに持論・結果にいく。
- 聞いているのに、聞けていない。
これらはコミュニケーションにおいて、致命的な失敗につながりかねません。「話すのが好き」ということと、「コミュニケーションがうまい」ということは別モノだからです。話すことが好きでも、自分のことばかり話す自分本位なコミュニケーションしか取れなければ、むしろ信頼関係を築く上での妨げとなってしまいます。
逆に言えば、たとえ話すことが苦手であっても、コミュニケーション次第でよい信頼関係を築くことは可能だということです。
そのためにカギとなるのが「聞く力」なのです。「聞く力」とはつまり、相手を理解しようとする姿勢です。
「コミュニケーション=自分が話すこと」というイメージが強い人は、「コミュニケーションとは、まず聞くこと」だということを知っておきましょう。
②内向的な人はコミュニケーションが下手?
コミュニケーション能力は、「積極的」「外向的」な人だけが持つ特別な能力だと考える人が少なくありません。
反対に、内向的な人はコミュニケーションに不向きだというイメージを持っている人も多いでしょう。しかし内向的か外向的かだけで、コミュニケーション能力の優劣が決まることはありません。
内向的で話すのが苦手でも、話し手の気持ちを受け止めようとする姿勢の人は、高いコミュニケーション能力を持っていると言えます。この姿勢を「傾聴」と言います。傾聴は「聞く力」の基本であり、相手を少しでも理解しようと心を傾けることです。
お伝えしたいことは、世間一般であまり評価されない「内向型人間」であったとしても、何ら心配する必要はないということ。むしろ、「聞く力」という最強の武器を駆使して、人生のあらゆる局面で大きな成果を成し遂げることができるのです。(p.22)
傾聴とは、積極的な行為です。「自分の話を興味持って聞いてくれている」「自分の気持ちを理解しようとしてくれている」と感じてもらえるため、傾聴は外向的な性格かどうかに関わらず意識すべきことです。
もし傾聴の姿勢に欠けた聞き方をしているなら、聞いていないと同じだと言われてしまうかもしれません。とくに内向的な人が黙り込んで聞いていると、余計に誤解されてしまうケースもあるでしょう。そうならないためには、「うなずき」と「相槌」を取り入れることも効果的です。適宜うなずきや相槌を入れることで、共感して聞いていることが相手にも伝わります。
③上司は部下の話を聞かなくていい?
上司と部下のような上下関係は、コミュニケーションに障害をもたらす場合があります。
「上司が部下に指示出す」→「部下は黙って聞いて従う」
このようなスタイルが当然となっている環境では、上司は部下の話を聞く必要はないと思いがちです。しかし、上司部下間でのディスコミニケーション(相互不理解)は、結果として組織の、また上司本人の損失に繋がりかねません。
一方通行なコミュニケーションに偏りがちな上下関係であるからこそ、意識して耳を傾ける必要があります。コミュニケーションが双方向になることで、よりチームワークを発揮でき、自分たちの本来の目標達成のために有益な関係を築けるでしょう。
強固なつながりは、組織力を発揮させるための土台となります。優れたリーダーはそのことをよく理解しているのです。(p.75)
④会話が続かないのは話が下手だから?
コミュニケーションが苦手な人の中には、会話が途切れたときの気まずさを恐れている人がいます。「会話を続ける・盛り上げる」ことは話す力のように思えますが、これも「聞く力」によって改善できます。
なぜなら、会話が続かないのは「効果的な聞き方」ができていないことに原因があるからです。以下に効果的な会話ができていない人の特徴をまとめました。
- リアクションがない。
- 会話の流れを理解していない。
- 相手に意識を向けていない。
いくら話を聞いているつもりでも、このような聞き方をしていては「私との話は面白くないのかな」と、思わせてしまうかもしれません。そうなっては会話が弾むわけもありませんね。聞く力が乏しいと、続く会話ができないのです。
会話が続かないという問題を解決するためには、聞く姿勢を正した上で、話の幅を広げていく「横の質問」と、特定の話題に絞って深掘りしていく「縦の質問」を使い分けることが勧められています。
「横の質問」では、相手の関心度が高い話題にたどり着くまで、「ほかには?」などと質問しながら話を広げます。そこから深掘りしたい話題を見つけたら、「縦の質問」として、5W1H、つまり、誰(who)、何(what)、いつ(when)、どこ(where)、どうやって(how)を使う質問をすると会話が自然と盛り上がりやすくなります。
⑤相手を理解できれば良いコミュニケーションがとれる?
「聞く力」で相手を理解できさえすれば、すべての人間関係がよくなり、豊かな人生を歩めるというわけではありません。
相手を理解して受け入れるためには、じつは、聞き手自身が自分のことをよく理解し、受け入れていなければならないのです。「相手を知る前に、自分を知っているのか?」ということです。
本当の意味でよい人間関係を築くためには、まず自己理解を深める必要があります。自己理解について、國武氏は次のように語っています。
自己理解にはいろいろなレベルがありますが、外交官時代に人間観察を何度も繰り返しながらわかったことは、「自分に対して誠実であるかどうか」が相手との信頼関係をつくる前提条件である、ということ。自分に対して誠実な人とは、自分の価値観を大切にしている人です。(p.152)
自分を大切にできない人は他人を大切にできず、他人の気持ちに寄り添うこともできません。つまり、自己受容できている人こそ、他人とのコミュニケーションの中で「聞く力」を発揮することができるのです。
また、他者だけではなく自分の声も聞けるようになると、自己理解が深まり、より充実した自分らしい「本当の人生」を送ることもできるようになります。「聞く力」は、あらゆる人生の局面において「最強の武器」となるのです。(p.204)
まとめ
一見「コミュニケーションのハウツー本」だと思えるようなタイトルですが、じつは「自己啓発本」だと感じました。本書の主題は「聞く技術を身につける」ではなく、「聞ける人間になる」だと言えるでしょう。
「なぜか人間関係がうまくいかない」と悩んでいる人は、お手に取ってみてはいかがでしょうか?
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