こんにちは、福岡在住大学生のひぐです!
初めて寄稿させて頂いた前回は、佐藤可士和さんの働き方(とりわけ、整理術に特化したもの)について紹介させて頂きました。
続く今回は、「人工知能時代の幸せな働き方」についてです。紹介する本のタイトルは『2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方』。
著者の藤野貴教さんは、人工知能の専門家ではありません。外資系コンサルタント会社と人材系コンサルタント会社を経て、現在は株式会社働きごこち研究所の代表取締役を務めている、いわば「働き方」のプロ。さらにはグロービス経営院でMBAも取得されている、相当なエリートコースを歩んでいらっしゃる方です。
少し僕の話をさせて頂くと、本当ならば大学4回生の代なので、周囲は就職活動に奔走中。そのため「働き方」について考えることが少なくありません。就活の時期って、もはや人生で一番、自分の働き方や生き方について考える時期なのではと思うほどです。(あわよくば藤野さんに相談したい。。。)
なので、この本のタイトルを見た時にビビッと来たわけです。そして読み始めると、ただのキャリア本とは違い、未来の話もあって刺激を与えてくるので、先を読み進める手が止まりませんでした。
その太鼓判は至る所から。今やイノベーターとして活躍されているお笑い芸人の西野亮廣さんや、グロービス経営大学院の研究科長である田久保善彦さんも本書を絶賛されています。
そんな有名人からの評価も得ている本書は、いったいどのような話なのでしょうか?
興味が湧いて来ましたよね???
前置きが長くなりましたが、紹介させて頂きます!
幸せな働き方の鍵となる3ステップ
まずは著者の立場を把握しておきましょう。その上で読み進めた方が、すんなり内容が入ってくるかと思います。結論から言うと、藤野さんは人工知能を肯定する立場をとっていて、冒頭の文章の中で
AIは働くことを「楽に」してくれるだけでなく、人生を「楽しく」するのです。
と述べています。
そしてそのために必要なことが、「知る」「使う」「創る」という3ステップです。
1.知る
何事もそうですが、まずは知ることが第一歩。そのために藤野さんは3つのことを薦めています。
- ニュースを見ること
- オピニオンリーダーのSNSをフォローすること
- 勉強会に足を運ぶこと
ニュースを見ることは5分もあれば始められることなので、今すぐ始めてみましょう。もちろん本書にもAIに関する情報があるので、読めば人工知能の基本を「知る」ことができます。
2.使う
AIを「使う」なんてハードルが高いと思う方もいらっしゃるるかもしれません。
しかし、今やもう、LINE上でAIとチャットを楽しめる時代なんです。みなさんもこの記事を読み終えたら、LINEの友だち検索で「りんな」を探してみてください。
彼女は日本マイクロソフトのAIが搭載された女子高生キャラクターで、会話を重ねることで学習、会話をしてくれるのです。
AIに対する不安や恐怖も、一度使ってみることで軽減されますし、なによりAIを「使う」ことは難しいことではないと実感できるでしょう。
3.創る
私たちがAI時代を生きていく上で、目指すべきがこの「創る」というステップです。「いきなりハードル上がりすぎ。。。」と思うかもしれませんが、これはAI自体をつくることを指しているわけではありません。
「AIを活用してサービスをつくってみよう」と藤野さんは仰っています。もちろんこれすらハードルは高いと思いますが。。。笑
ですが、現在は様々な企業が自社のAIを自由に使えるようにしてくれているのです。そういった既存のテクノロジーを活用して、自分の妄想する理想を現実のものにしてみてください!
僕が今創るとしたら。。。今まで読んだ本の傾向をAIで分析して、次に読むべき本を紹介してくれるサービスなんかいいなあと思います。Amazonのおすすめ機能でも似たような体験は得られますが、本文の内容まで一文一文細かく分析して、より精度の高いおすすめをしてもらえると面白そうです。
人工知能時代に「ヒト」に求められる仕事
さて、人工知能が色んな仕事を代替するようになったとき、ヒトが価値を発揮するのはどんな領域なのでしょう? どんな能力を伸ばしていけば、AIに代替されずに済むのでしょうか?
藤野さんは2軸4象限のマトリクスを用いて説明されています。
見ていただくとわかるように、左下にある、既に仕組み化されている「構造的」な領域で、かつ「論理的」な思考が大事になる仕事は、AIに代替されやすい仕事となっています。
逆に、まだ仕組み化されておらず(「非構造的」で)、感情的な部分を揺さぶる仕事が、これからは「ヒト」が価値を発揮できる領域として生き残っていくと言われています。
さらに本書では、以下の4つの職種ごとに、育むべき能力について説明されています。
- 営業・接客系
- 製造系
- 技術系
- 事務・管理系
今の自分に必要な力がなんなのか、ぜひ参考にしてください!
人工知能時代の働き方、3人のモデルケース
さて、本書の大きな特徴となっているのが、お笑い芸人の西野亮廣さん、リバネス代表取締役CEOの丸幸弘さん、蜂獲り師・罠猟師である熱田安武さんのインタビューです。
全文掲載したくなるくらい面白いインタビューなのですが、ここでは3人の印象に残った言葉を抜粋することに留めましょう。
「つくられた枠に入っているよりも、違うことをやったほうが絶対面白い」(西野さん)
AIは論理的に導かれた、ある意味「妥当な答え」しか私たちに与えてはくれません。だからこそ人とは「違う」ことをやるという発想が、人工知能時代を生き抜く上では求められるのです。
「無駄な時間をいかに使うかが1番大事」(丸さん)
これも前述の西野さんと似た話になると僕は思っています。効率を高めるのがAIならば、とことん効率の話から遠ざかる。そこにふとした気づきが生まれるのかもしれませんね!
「ぎりぎりのところで生き物との対峙をして、初めてわかることがあるんです」(熱田さん)
死と隣り合わせの仕事である猟師ならではの発想だなあと強く感じたこの言葉。インターネットが普及して、PCやスマホで簡単に世界の絶景が見られるようになったけど、実際に現地に赴くと感じ方が全然違いますよね?
人は想像力のおかげで経験を補うことができるけど、やっぱり経験に勝るものはない。やる前から否定せずにやってみる大切さが、この一言に詰まっていると感じました。
3人のインタビューからは、自分の日々の生活に気づきをあたえてくれる「金言」がたくさん詰まっています。時間がない方でも、この章だけは絶対に読むことをお勧めします!
ヒトとして何をして、どう生きるか
というわけで、現在就職を控えている大学生にとっては、これからの生き方を考えるひとつの材料として、また、かつて就職活動をされてきた方も、今後のキャリアを考えるきっかけとして、この1冊はとても参考になると思います。
人工知能にできて、人間にはできない領域はこれからどんどん増えて行くでしょう。しかしその逆もまた然り。人間にしかできない、ヒトならではの領域で、僕たちなりの「幸せ」を見つけて、育むことが重要なのだと感じました。
さっそく本書を手にとって、これからの働き方について描いてみてください。
他のライターのレビュー記事