名経営者がみんな読書家なのはなぜ?
「ビジネスマンは本を読むべし」とはよく言われますが、「なぜ読んだ方が良いのか?」という問いに説得力をもって答えられる人は少ないのではないでしょうか。
「読書の大切さは分かるけど、具体的にどんな効用があって、どれだけ重要度が高いことなのか実感できないと、忙しいのに時間をとる気になれない」という方は多いと思います。
読書の利点は数多くありますが、「経営センスが磨かれる」という視点から説かれているのが本書です。
著者は、ベストセラー『ストーリーとしての競争戦略』で一躍有名になった、経営学者の楠木建さん。
本書を読むと、名経営者たちに読書家が多い理由がよくわかります。読書は「経営センス」を磨くために非常に有効な手法なのです。
今回のポイント
- なぜ今「経営センス」が求められるのか?
- 「経営センス」って具体的にどんなもの?
- 読書によって「経営センス」が磨かれる!
なぜ今「経営センス」が求められるのか?
「経営者じゃないのに経営センスなんて必要ない」と思う人もいるかもしれませんが、これからの世の中は、全てのビジネスパーソンに「経営センス」が求められるようになります。
その理由は大きく2つあります。
1.「スキル」だけでは生き残れない
定型化された「スキル」は、習得のプロセスを踏めば誰にでも身につけることができるので、それ自体で差別化することは困難で、競争力のある価値とはなりづらくなっています。
一方、本書で語られている「センス」は、「千差万別」で「定義が容易でない」「身につけるための定型的な方法もない」ものなので、余人を持って代えがたい価値として認められやすいのです。
多くの人が、資格試験のような目に見えてわかりやすい「スキル」に傾く今の時代、「センス」を磨くことが労働市場で価値のある人材になるためのカギとなります。
2.サラリーマンも経営センスが求められる
IT企業の栄枯盛衰サイクルのスピードを例に出すまでもなく、1つのビジネスで企業が競争優位を維持できる期間はますます短くなっています。
「新しいビジネス」を継続的に生み出さないと、企業は生き残っていけません。
とすると、その中で働くサラリーマンにも、当然のように「経営者目線」や「ビジネスをつくる仕事」が求められるようになり、「経営センス」の有無が仕事の質を大きく左右するようになるのです。
この点は、『ビジネスをつくる仕事』という書籍に詳しいです。
「経営センス」って具体的にどんなもの?
では「経営センス」とはいったい何なのか。楠木さんは次のように説明しています。
センスとは「文脈に埋め込まれた、その人に固有の因果論理の総体」を意味している。平たくいえば、「引き出しの多さ」。優れた経営者はあらゆる文脈に対応した因果のロジックの引き出しを持っている。しかもいつ、どの引き出しを開けて、どのロジックを使うかという判断が的確、これもまたセンスである。
因果論理ーつまり「こうすればこうなる(だろう)」という引き出しの多さが、そのままセンスの良さにつながるということです。
経営においては、どの企業にも当てはまる画一的な答えなど存在しません。その時代、その業界、その企業の文脈によって、まったく違った答えを出して行かなければなりません。
そうしたとき、適切な判断を下すには「こうすればこうなる(だろう)」という因果論理の引き出しの多さがものを言います。楠木さんはこのことを「経営センス」と言っています。
とすれば、「経営センス」を磨くには「因果論理」の引き出しを増やせばいいということになります。
読書によって「経営センス」が磨かれる!
もっとも有効なのは、自分が経営者としての場数を踏んで因果論理の引き出しを蓄積していくことですが、誰もがすぐに始められることではありません。
もし自分の周りにセンスのよい人がいれば、その人をじっと観察して、思考や行動の背後にある論理を「見破る」ことで「疑似場数」を踏むことも可能です。
まずは自分の周囲の人でセンスがよさそうな人をよく見る。そして見破る。「見破る」というのは、その背後にある論理をつかむということだ。センスのいい人をただ漫然と観察したり真似するのではなく、なぜその人はそのときにそうするのか、「なぜ」をいちいち考える。これを繰り返すうちに、自分と比較してどう違うのか、自分だったらどうするか、と考えるようになる。自分との相対化が起こる。そうして自分の潜在的なセンスに気づき、センス磨きが始まる。
しかしこれも、センスのよい人がそう都合よく見つかるわけではありませんし、いつもそばにいて観察できるわけでもありません。
そこで、日常的に因果論理を学ぶために重要な役割を担うのが、読書というわけです。
先に述べたように、経営とはその企業固有の文脈に依存するものなので、経営戦略の論理をつかむには断片的な情報だけでは困難です。
論理を獲得するための深みとか奥行きは「文脈」(の豊かさ)にかかっている。経営の論理は文脈のなかでしか理解できない。情報の断片を前後左右に広がる文脈のなかに置いて、初めて因果のロジックが見えてくる。
読書が因果論理を学ぶのに適している理由はここにあります。読書の強みは、「文脈(の豊かさ)」にあるからです。
空間的、時間的文脈を広げて因果論理を考える材料として、読書は依然として最強の思考装置だ。
ちなみに、読書の対象は必ずしも経営書や経営者の自伝である必要はありません。ビジネス書と呼ばれる書籍には、基本的に著者の主張とそれを裏付ける根拠(つまり論理)が詰まっているからです。
経営に直接関係するものでなくても、論理の引き出しを増やすことは経営センスを磨くことに役立ちます。
また、様々な書籍に触れると、著者によって因果論理の強さに差があることに気づきます。論理の質を見破る目を養えば、良質な論理の引き出しを増やすことにも役立ちます。
まとめ
本書は読書の利点をメインに説いた書籍ではありませんが、読み終えたときに「読書の必要性」と「読書の楽しさ」が感じられる良書です。
経営センスを身につけたい人、読書の習慣をつけたいけどイマイチやる気が出ないという方に是非オススメしたい一冊です。
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「いきなりハードカバーだとキツイ」と言う方は、楠木さんの主張がライトに理解できるこちらの新書がオススメです。
経営戦略の本質について学びたい方はこちらもオススメです。
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・名前 :谷晴香
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