『超速』世界の起業家・CEOが実践する超・効率メソッドとは?

『超速』世界の起業家・CEOが実践する超・効率メソッドとは?




 今回紹介する『超速』では、文字通り、仕事のスピードを高めて、超・生産的になるための仕事術が紹介されています。

 生産性を高めれば、もっと人生を充実させられるようになります。退屈でつまらない作業に費やす時間を最小限に抑えることで、自分を本当に幸せにしてくれることに、もっと時間を使えるようになるからです。

 本書では、生産性の方程式を

完了した仕事=(費やした時間)×(集中の度合い)×(実行速度)

と表しています。つまり「時間」「集中」「速度」の3つが生産性アップのカギになるということです。

 具体的には、次の3つのステップを実践することで、生産性を高めることができます。

  1. 整理:作業を適切に行うために、上手に時間を割り当てる。
  2. 集中:作業に必要なだけの意識を向ける。
  3. 加速:作業をできる限り迅速かつ効率的にやり遂げる。

 早速、3つのポイントについて要点を解説していきます。

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整理

 まずは、自分にとって最も重要な仕事に十分な時間とエネルギーを注げるよう、タスクを整理して時間を割り当てることから。

 仕事の整理は、以下のステップで行います。

  1. 自分の目標・目的に適さない仕事は断る。
  2. 2分以内で片付く仕事はすぐにやる。
  3. 2分以内で片付かない仕事は、すぐにTo Doリストに書き留める。
  4. 他の人にもできる仕事は、代わりにやってもらう。
  5. 残った仕事に優先順位をつける。

 その上で、仕事の内容によって以下のコツが紹介されています。

  • 楽しくない仕事→すぐに取りかかる。(作業を始めることで、楽しくなっていく)
  • ややこしい仕事→小さいパーツに分ける(取り組みやすいサイズに分割する)
  • 退屈な仕事→楽しみを作る(「パワーアワー」で業務で楽しむ)

 以下、詳しく説明します。

誠意を持って「NO」を言う

 生産性とは、優先順位を戦略的に選択して、目的に最も適した内容だけに応じることです。依頼された用事すべてを受けていたら、目標達成のために重要な仕事にエネルギーを集中できません。まずは目標に適さない仕事を断れるようになることが重要です。

 自分の予定を自分でコントロールする権利を取り戻すためには、先まわりして目標を明確に定義する必要があります。はっきりした目標がないと、自分の時間に課せられる無数の要求に対して受け身になり、隙ができてしまうからです。

 

「今日(または今四半期)のために、私はどんな目標に取り組んでいるか?」という問いに、常に正確な答えを準備しておこう。そうすることで、要求されたことを「受け入れるか拒否するか」の基準ができる。(p.37)

 依頼された仕事を断ることに後ろめたさを感じる人もいるかもしれません。しかし自分の意思や判断に反した行いは、意欲を下げ、失望する結果に終わる可能性が高いと著者は言います。

 「ノー」と言って理由を説明するほうが、自分にできないことに「イエス」と言うよりも、常に良い結果が得られます。丁寧に断って、その理由をきちんと説明すればよいのです。

「ToDoリスト」にすぐに書く

 頭のなかでやるべきタスクがごちゃついていると、心を曇らせ、集中の妨げとなります。自分が対処すると決めた仕事は、あらゆることを外付けのハードドライブ、つまりToDoリストに保存しましょう。

 その都度ToDoリストに記録することで、心のメモリを解放することができます。やることを書き出すことで、実行する確率も高まります。

 書き留めるときの書式は、「必要な情報+行動を示す動詞」がおすすめです。

 たとえば、

  • 「Aさんから原稿を(情報)受け取る(動詞)」
  • 「プロダクトの技術仕様を(情報)作成する(動詞)」
  • 「生産性に関する本のタイトル10案を(情報)書き出す(動詞)」

といった具合です。

 また、結果を主体にした表現も有効です。たとえば「壊れた窓を修繕する」ではく、「窓が修繕された」のように結果に焦点を当てた書き方をすると、やる気につながります。窓を修繕するという行為よりも、窓が修繕された状態のほうが、イメージとして嬉しいからです。

「2分」でできるならすぐにやる

 ToDoリストに2分以内に完了できるタスクがあったら、即実行します。2分以内のタスクを即実行することで、リストを読み直したり、スケジュールのどこに差し込むかを考えたりする時間が節約できます。

 

実際にやってみると、日常業務の多くが2分以内に完了できることに驚かされる、そういったタスクを即座に片づけることで、リスト内の数を劇的に減らすことができ、リストが延々と続くことの心理的な負担から逃れることができる。(p.48)

先延ばしにしない術

 人は誰しも困難な作業を先延ばしにする傾向があります。「同じくらい大切な用事がほかにもあるから、先にそっちを片づけなければ」と自分に言い聞かせて、問題を回避しようするのです。

 これを克服するには、プロジェクトを、やる気を起こさせる(つまり、シンプルで完了しやすい)サブタスクに分割することが有効です。

 人間の脳は、困難な状況を回避して、代わりに楽しい状況を探す傾向にあります。常にすぐに得られる満足感を求めているため、時間がかかるものよりもすぐに満足感を与えてくれる行動を優先しようとするのです。

 つまり、すぐに完了できそうなタスクに分割すれば、それを終わらせて満足感を得たいという気になるため、行動につながりやすいということです。

 最初のステップには、プロジェクトとは関係がなさそうでも、簡単に達成できるものを持ってきましょう。

「毎朝ベッドを整えると、その日の最初の仕事が完了する。そのことがささやかな自尊心を与え、次々に仕事をこなそうという気持ちにさせてくれる……」(p.68)

 何かを動かすためには「やる気」が必要だと思いがちです。しかし、実はこれは逆で、「やる気」を起こすためには何かを動かす必要があるのです。

 ジョギングをする気持ちを高めたいなら、10メートルほど走ってみる。文章を書く気になりたいなら、最初の数ワードを書いてみる。「最初の1秒」をやってしまえば、次第にやる気が出てくるようになります。

常に最も難しいのは「最初の1秒」だ。始めてしまえば、あとは格段に楽になる。(p.70)

集中

 取り組むべき仕事が整理できたら、次は「集中」する方法です。

 100%集中するためには、気が散ったり邪魔が入ったりすることを避けなければなりません。そのためのノウハウの一部を紹介します。

頭の中の「ごちゃごちゃ」をきれいにする

 メールの送信を「予約」する。アーカイブ機能を利用して「受信トレイ」を空にする。机の上やデスクトップを整理する。こうして頭の中に余計な情報が残らないようにしましょう。

 机の上に未完了の仕事が残っていると、手元の作業中に気が散ってしまう原因になります。

 

整理されていない机は、鼻先に貼りついて離れないToDoリストのようなものだ。机が整理されていないのは、頭の仲が整理されていないのに等しい。(p.86)

 これはパソコンについても言えます。デスクトップに散らかっている古いファイルを取り除くと、信じられないほど気分が良くなります。

 Macのアプリ「Hazel」は、1週間使わなかったデスクトップ上のファイルを専用フォルダに自動的に移動してくれるので、ぜひ活用してみてください。

「雑音」をシャットアウトする

 多くの起業家は、本当に集中して何かを終わらせる必要があるときは「ヘッドフォン」を利用しているそうです。

 ヘッドフォンをしていると、

  • 同僚に、重要なことに取り組んでいて邪魔されなくないという意思表示ができる。
  • 音楽を聴くことで集中力が高まる。

というメリットがあります。

 できれば歌詞がないシンプルな音楽を聴くようにしましょう。クラシックやリラックス系のジャズ、名作映画のサウンドトラックなどです。また新作はできるだけ避けましょう。脳は、新しい曲よりも馴染みのある曲のほうが気を取られにくいからです。

 作業用BGMを提供してくれる「Noisli」では、静かな川岸、カフェ、雷雨の山小屋といった、集中するのに役立つ数種類の環境音を組み合わせて聴くことができます。環境音は、仕事をうながす雰囲気を作り出すのに強力な効果があります。

 また「オフィス」から離れることも有効なオプションです。カフェや公園、コワーキングスペースなど、あなたが好きな場所で作業してみましょう。中断されずに半日仕事をすると、多くの成果が得られることに、あなたも驚くはずです。

加速

 やるべき仕事と集中の仕方がわかったら、最後は実行スピードを加速する方法です。

 本書では次の4つの手順に分けてテクニックが紹介されています。

  1. 基礎固め(Fundamentals):これから行う作業の時間を節約するのに役立つ、強固な基盤を作る。
  2. 自動化(Automation):くり返すアクションを自動化する。
  3. 高速(Speed):手動の作業を高速化する。
  4. 20/80ルール(Twenty/Eighty Rule):100%は目指さない。80%のインパクトを与えるために、20%の労力を使う。

 4つの頭文字をとって「FASTメソッド」です。

基礎固め(Fundamentals)

 「基礎固め」では、頭や身体がスッキリした状態を作ること、また最適な作業環境を整えることについて書かれています。

 たとえば「休憩」とは、仕事をしていなかったりダラダラしたりするだけの時間ではなく、効率と創造性を向上させるのに必要な「基礎固め」の時間です。どうしようもなく疲れている時は、10〜15分の仮眠を取ると、さらに3〜4時間がんばることができるでしょう。

 また「生物学的プライムタイム」(エネルギーレベルが自然にピークに達する時間)を最大限に活用することも重要です。1日の中で、やる気と集中力が最高レベルにある時間帯を知ることで、重要な作業に対処するのに最適な時間帯と、コーヒー休憩にいくほうがよい時間帯を割り出すことができます。

 超朝型の人なら、すべての会議を午後に移動し、朝の時間を作業負担の大きい仕事に使うとよいでしょう。メールを読んだり、どうでもいいことで頭をいっぱいにしたりして、朝の時間を台無しにするべきではありません。重要な作業にやる気と集中力を向けられるよう、朝の「ルーティン」を決めてしまいましょう。

 ちなみに、著者が話を聞いた起業家のうち、夜に生産的になるという人は1人もいなかったそうです。一方で、少なくとも20人が、生産性を向上させるための重要な秘訣は、早朝にスタートを切ることだと述べています。

 

朝一番は、頭が最もすっきりしている。睡眠によって脳内のゴミが取り除かれ、最も厳しいタスクに取り組む準備ができているのである。(p.122)

自動化(Automation)

 「自動化」では、スマホやパソコンのアプリや拡張機能を使って、作業を自動化・効率化する方法がたくさん紹介されています。

 2回以上くり返して行うアクションは「自動化」する、というのが鉄則です。

 たとえばユーザー名とパスワードをストレスなく入力できるように、パスワード管理アプリ「1Password」を活用しましょう。もっと包括的に、すべての情報を自動で入力したいなら「Dashlane」がおすすめです。これは著者が話を聞いた起業家の中で最も推奨が多かったアプリだそうです。覚えておく必要があるのはマスターパスワード1つだけ。それが、ウェブ上のすべてのアカウントを開く鍵となります。

 またGmailやOutlookの「自動フィルター」を設定すれば、重要な差出人のメールに自動でラベルをつけたり、件名に特定のワードが入ったメールに自動返信をしたり、特定の不要なメールを自動的に削除またはアーカイブしたりできます。

 「Mixmax」を使えば、Gmailのポテンシャルをさらに引き出すことができます。リマインダー機能では、指定した日数が経過してもメールの返事がない場合に、自動でリマインダーを送信してくれるので、フォローアップすることを覚えておかずにすみます。他にもスケジュールの調整を簡単にしたり、トラッキングによってメールの開封がなされたかどうかがわかったり、シーケンス機能で指定の時間内に返事がない場合に自動でフォローアップメールを送れたりと、作業効率を高める機能が盛り沢山。無料版では、それぞれの機能を月に10回ほど使用できます。

 また、日常に行う業務の多くは、「xが発生した場合は、yを実行する 」というように、「if(条件)-then(実行)ステートメント」に基づいています。たとえば取引先から請求書をメールで受け取ったら、きちんと受け取ったことを伝える返信を送ってから、ドロップボックスにファイリングする、など。こうした退屈で反復的なアクションは、簡単に自動化でき、時間とエネルギーを節約することができます。

 自動化ツールの「Zapier」を使えば、1000以上のアプリを組み合わせて作業の自動化が可能です。類似アプリの「Integromatm」は、より視覚的な「ドラッグ・アンド・ドロップ」のインターフェイスを備えており、こちらのほうがZapierよりも完全で強力だと感じる人もいるようです。

 先述したファイルの自動整理ができる「Hazel」(Windows向けは「DropIt」)は、設定した特定のパラメータに従ってパソコン上のファイルを自動的に整理してくれます。

 たとえば、

  • ダウンロードフォルダ内のドキュメントが1ギガバイトより大きく、2週間以上開かれていない場合、Hazelを使って自動的に削除する。
  • ドキュメントに「請求書」という言葉が含まれている場合、Hazelはそのドキュメントのコピーを作成し、日付と時刻をつけた上でファイル名を変更して、自動的にアカウント(経理)フォルダに保存する。

といったことが可能です。

 他にも、ウェブサービスの連携レベルをさらに上げるために「IFTTT」(If This Then That)や「RPA」(ロボティック・プロセス・オートメーション)について触れられていたり、AIや音声認識の活用による自動化についても紹介されています。

高速(Speed)

 「高速」では、タスクの処理スピードや作業効率を高めるアイデアが紹介されています。

 たとえば「Auto Text Expander」によって、よく使うフレーズや文章を特定のショートカットに割り当てたり、「返信定型文」を使ってテンプレートで返信するようにしたり、キーボードの「ショートカット」覚えたりして、作業スピードを高めることができます。(ショートカットについては、「メガ起業家に聞いた使えるショートカットキー」として巻末付録にまとめられています)

 またメールのラリーが少なくなるような本文の書き方や速読のコツ、記憶のコツ、暗算のコツ、必要なファイルがすぐに見つかるよう検索性を考えたファイル管理法、ウェブ検索のテクニックなど、簡易的な説明ながら、仕事の効率を高める方法が網羅的に紹介されています。

20/80ルール(Twenty/Eighty Rule)

 「20/80ルール」では、「パレートの法則」(売上の80%は20%の顧客によるものである)を日常生活に当てはめ、仕事のやり方を大きく変えることを勧めています。

 影響の80%が20%の原因によって生み出されるなら、努力のほとんどをその20%に集中させるべきです。これは実際に影響を与える20%に集中するために、価値の低い80%のタスクを捨ててもいいということでもあります。

 たとえば、

  • 2つの問題が成績の80%を占める試験を受ける時は、残りを無視して、2問に時間をかけてできるだけうまく解答することに専念する。
  • 新興企業を経営しているなら、20%の労力をかけて80%機能する製品を市場に投入する。そうすることで、最初の顧客からフィードバックを得て、微調整を始めることができる。

といった具合です。

 重要ではない細部を微調整するよりも、やるべきことはたくさんあります。

 これを実践するために、「非現実的な期限」を設定することが勧められています。複雑なビジネスの提案書を作成するときは、1時間という制限時間を設けて、時間が来たら顧客に送信すると決めてみてください。

 「完了」は「完璧」よりも優れていることを肝に銘じましょう。

まとめ

 本書に書かれた知識やテクニックは、「そんなのもう知ってるよ」と思うものもあるかもしれません。

 しかし200ページというコンパクトなページ数ながら、仕事のスピードを高めるために必要な考え方やツールの活用法が網羅的に紹介されているため、きっとまだ知らない知識やノウハウに出会えるはずです。

 巻末には書籍内で紹介されているツールやアプリのまとめと要点をおさらいするためのチェックリストが用意されています。

 「気が散るのを防ぐツール」や「ネットサーフィンを防ぐChromeの拡張機能」など、この記事では紹介していないツールやテクニックもたくさん登場しますので、気になる方はぜひ手に取ってみてください。

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