やっても、やっても、仕事が減らない。もう少し仕事をこなすスピードが速くなったら、プライベートの時間が増えるのに…さっさと仕事を終わらせたいのに、なぜか集中できない。集中力がもっとあったらな…。
そんな風に常々思っていた、読書でライフワークミックスな人生を送っているオケマリです。
昔から、私は色々なことに興味を持つ性格で、やりたいことは山のようにあり、しかもどんどん増え続けています。SNSで見つけたイベントや講座で「ピン!」と来たものには参加するし、「なるほど!」と思ったコトは、まずはやってみる。
でも、一度チャレンジはしてみるものの、一つのことを集中してやり続けることができず、いつも三日坊主。途中で飽きたり、苦痛に感じてしまったり、忘れてしまったりして、やめてしまうことがほとんどです。
もし集中力をアップすることができたら、もっと講座の学びが身になって、仕事の効率化や売上アップにつながるのにと思っていました。
そんな時に出会ったのがこの一冊。脳科学者の茂木健一郎さんの著書、『瞬間集中脳』です。
結果を出し続ける人は「瞬間集中」が上手
「瞬間集中」とは、「1秒単位でやるべきことに集中する」ということです。
茂木さんをはじめ、Apple創業者のスティーブ・ジョブズさん、映画監督でもあり、お笑い芸人でもある北野武さん、そしてAKB48グループのプロデューサーで知られる秋元康さんなど、多方面で大きな活躍をされている方は「瞬間集中」がとても上手だそうです。
彼らに共通しているのは、ある分野に全く新しい分野を組み合わせてイノベーションを起こし、新しい世界観を作り出しているということ。
「瞬間集中」できるからこそ、次から次へと集中の対象を切り替え、幅広い分野の知識やスキルを身につけ、イノベーションを起こしたり、ヒット商品を生み出したりできるのです。
でもそう聞くと、「瞬間集中」って「特別な人だけができることなんじゃね?」と思ってしまいますよね。上で挙げたような人たちは、もともと「瞬間集中脳」を持っているすごい人たちで、私みたいな凡人にはできない特別なことだろう、と。
でも、それは間違いのようです。「瞬間集中」は、訓練すれば誰でもできることなのです。こんな集中力散漫な私でも、日々のちょっとした意識の切り替えをするだけで。
「瞬間集中」を生み出す6つのコツ
「瞬間集中」を発揮するためのコツは、下記の6つです。
- トップスピードで脳を稼働させる
- 1%に集中し、99%は捨てる
- すきま時間にも脳を熱狂させる
- 脳はノイズが大好物
- To Doリストは手帳やメモに書かない
- 1万時間の法則で脳に記憶をさせる
①トップスピードで脳を稼働させる。
仕事をするとき、「コーヒーを飲んでから」「○○時になってから」のような前置きや段取りをはさむ癖をお持ちではないですか?
この時間がもったいない! なぜなら脳にはこうした準備時間は必要なく、一瞬で「集中状態」になれるからです。
たとえば道端で知り合いに声をかけられたら、瞬時に反応して、目の前の相手に集中し、頭をフル回転しながら会話を始めますよね。誰でも「瞬間集中脳」は持っているのです。
いつでもトップスピードで脳を稼働できるようになるためには、余計な前置きや段取りは考えず、「思い立ったらすぐに行動する」、この癖をつけることが大事だそうです。
②1%に集中し、99%は捨てる。
一つのことに集中するということは、後の99%は捨てるということです。
「自分はこれだけに集中する!」と決めて、ほかのことは捨ててしまえば、瞬間集中に入りやすくなります。
コツは、時間を決めて、その間は1つのことしかやらないようにすること。電話がかかってきても、メールが来ても、その時間には反応せず、やると決めた内容だけに集中するのです。
「他のことはあとでやる」という許可を与えてあげると、1つのことに集中しやすくなります。
③すきま時間にも脳を熱狂させる。
仕事の合間に生まれる5分程度のすきま時間。これを上手に使うことが重要であることは、誰もがわかっていると思います。しかし「5分程度じゃ大したことはできない」と考えて、スマホゲームで時間を潰したり、特に何もせずぼーっと過ごしてしまったりする人も多いのではないでしょうか。
茂木さんは、こういうすきま時間があったら「瞬間集中のチャンスが来た」と考え、細かいタスクをどんどん片づけて行くことを勧めています。
なぜなら「1秒単位で時間を認識している脳にとって、5分や10分はむしろ”長時間”」といえるからです。すきま間にできることは、いくらでもあるのです。
その際、脳の「新しいことを好む」という性質を利用して、それまでやっていた仕事とまったく違うモードの作業に取りかかると集中しやすくなるそうです。
たとえばデスクで作業する合間に、あえて席を立って上司や他部署の人への「報連相」を済ませるなど。「一人の作業→他人とのコミュニケーション→一人の作業」と次々とモードを切り替えることで、デスクに戻ってもすぐに集中できるのだそうです。
④脳はノイズが大好物。
これは結構びっくりしたのですが、脳はノイズが大好きなんだそうです。
一見、「静かな場所でないと集中できない」と思われがちですが、脳は「ノイズ」と「シグナル」を区別する機能があるため、ノイズがあっても集中力を発揮することはできるのです。
つまり「ノイズに強い人は、集中も得意」であり、集中が得意になるためには、あえて適度なノイズのある環境に身を置いてトレーニングをすることが効果的なのです。
会社で仕事をしていると色々なノイズがあると思うので、実は毎日集中力を高める練習ができる環境でもあるのですね。
ちなみに、脳は「予測不可能なこと」が大好きなので、ラジオのように次の曲が予測できないノイズを聴きながら作業するのも効果的なようです。
これを知って、今、スマホでYouTubeを流し聞きながらこの記事を書いていますが、まだまだ音声に引っ張られている自分がいます。こうしたノイズが気にならずに仕事ができるようになったら、集中力が上がった証拠。そのときは、自分を褒めてあげたいと思います。
⑤ToDoリストは手帳やメモに書かない。
手帳やメモにToDoリストを書いている人は多いと思いますが、茂木さんは役に立たないと言います。
なぜなら、一度紙の上で整理したとしても、状況は仕事をするうちにどんどん変わってしまうからです。
想定外のタスクが飛び込むのは日常茶飯事。「今日はこれをやるぞ!」と意気込んでToDoを書き出したものの、すぐに上司から別の仕事を振られ、新たなToDoが追加される。それが終わったと思ったら、打ち合わせの時間になってしまい、そこでもまた新たなToDoが生まれてしまう。
結局、紙に書き出したその日のToDoは消化できないまま、罪悪感と共に一日を終える…そんなパターンを繰り返しては、いつまで経っても仕事を速くこなせるようになりません。
茂木さんが勧めているのは、脳内に随時変更可能な「脳内ToDoリスト」をつくること。朝起きてから夜寝るまでの流れをイメージし、その日の仕事や勉強の流れを映像で思い描きます。そして常に「今は流れのどこにいて、何をやっているのか」を意識し、「次は何をするか」を判断します。
こうすることで、状況の変化に合わせて、今一番大切なことに集中しながら、タスクを消化していくことができるといいます。
その際、少しオーバーフロー気味で、「このタスクを1日でやるのは難しいかも」と思うくらいの量を、頭の中に泳がせておく方がいいそうです。自分の集中力の限界を決めずに、頭の中のタスクを次々と処理していった方が、瞬間集中のレベルが上がっていくからです。
やりたいことのボリュームを制限せずに、「脳内ToDoリスト」をオーバーフロー状態にしておきましょう。
⑥1万時間の法則で脳に記憶をさせる。
「1万時間の法則」とは、イギリスのマルコム・グラッドウェルさんの著書『天才! 成功する人々の法則』に書かれている、どんな分野でも、だいたい1万時間継続して使ったら、その分野のエキスパートになるという法則です。
これは集中力についても言えるそうです。脳にある「瞬間集中」の回路は、筋トレと同じように鍛えられるものなので、経験を積み重ねるほど、集中のエキスパートに近づいていきます。
大切なのは一回ごとの集中の長さではなく、瞬間集中を毎日繰り返すこと。「1日1分」でもいいので、日常的に瞬間集中を繰り返し、脳に集中のパターンを刻み込むことを目指しましょう。
瞬間集中で幅広いジャンルに目を向けよう
人工知能をはじめテクノロジーの進化のスピードは凄まじく、無人化や機械化によって人間の仕事がなくなっていくとも言われています。
だからこそ、これからは「瞬間集中脳」を活用して仕事のスピードを上げ、幅広いジャンルの知識やスキルを身につけていくことが大切なのではないでしょうか。
「自分には集中力がない」と思い込んでいる方には目からウロコの情報がたくさん詰まっていますので、ぜひ読んでみてください。