99.9%の人が未来を見誤る理由とは…?
先行き不透明な今の時代において、将来の働き方に不安を持つ人は多いでしょう。「自分は今の仕事を続けていてよいのか?」「もし変えるとしたら、どんな仕事や働き方を目指すべきか?」ーーそう考えて、未来がどんな世の中になるのかを予測してみても、その99.9%は外れてしまうと言われています。
なぜなら、多くの人は現在の景色という「点」だけを見て未来を予測しようとするからです。そうではなく、過去の歴史や時代の流れを踏まえて、社会の変化を「線」として捉えることが重要だと説くのが、本書『未来に先回りする思考法』です。
AppleやGoogle、Facebook、Amazonといった世界的に成功している企業のトップは、みんな面白いように同じ未来を見ていると著者は言います。
彼らは未来を「点」で予測してその一点を当てるために博打を打っているわけではなく、社会全体の変化のパターンを見抜き、「線」としてつなげているためまるで未来に先回りしているかのような予測ができるのです。
では、彼らのように未来を「線」で捉えためにはどのような思考法を身につければ良いのでしょうか。
「未来に先回りする思考法」を身につけるメリットは?
そもそも、AppleやFacebookのような世界的企業を目指すわけではない個人にとって、未来を予測できると具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?
端的に言えば、世の中の流れを読み、「今どの場所にいるのが最も有利なのか」を察知することができれば、少ない労力で大きなリターンを得ることができるという点が挙げられます。
逆に未来を予測する思考ができない人は、将来的になくなることが確実な仕事であっても、それに気づくことなく熱心に努力を続けてしまいがちです。将来テクノロジーによって代替され、必要がなくなる仕事のスキルを磨き続けても、その努力は(無駄ではないにせよ)報われる可能性は低いでしょう。
「どうすれば現状のやり方を効率化できるか」と考える前に、「今も本当にそれをやる価値があるのか」を優先して考える癖をつけることを著者は勧めています。
自転車をどれだけ改造して整備しても、宇宙に出ることは永遠にできません。どれだけ早くペダルをこいでも、自転車は構造上空に浮くことは絶対にありません。もし月に行きたいのであれば、まずいま乗っている自転車から降りる必要があるのです。
未来を予測するための思考法!
1. 常に原理から考える。
「原理から考える」というのは、そのシステムがそもそもどんな「必要性」を満たすために生まれたかを、その歴史をふまえて理解するということです。
変化を「点」ではなく「線」でとらえるには、今あるシステムがいつ、どんな状況下において、どんな必要性を満たすために生まれてきたのかを考えることが重要です。
なぜなら、ある「必要性」を満たすためにこれまでどんな方法が取られてきたのかという変化をたどれば、次にどのような解決方法が生まれ得るのか、予測しやすくなるからです。
世の中の製品・仕組み・サービスはすべて何かしらの必要性に迫られて誕生しています。しかし、時間が経つとその時代に最も効率的だと思われた選択肢も、実態の合わない時代遅れなものになります。
2. テクノロジーの現在地を知る
未来の変化を予測する際に有効な補助線となるのが、テクノロジーの知識です。というのも、ある「必要性」を満たすための方法というのは、テクノロジーの進化に伴って変わっていくからです。
そのテクノロジーがなぜ誕生し、どんな課題を解決してきたのかを知ることで、その課題を解決する別の選択肢が誕生したときに、未来の方向性をいち早く察知することができます。
本書では、テクノロジーを「知る」という点について、以下の4つの段階に分類しています。
- 使える
- ポテンシャルがわかる
- 「なぜできたのかを原理から理解している」
- 実際の作り方がわかる
例えばコンピューターを使える人(①)や、コンピューターで何ができるのかというポテンシャルを知っている人(②)は世の中に多くいますが、そのテクノロジーがなぜ誕生し、どんな課題を解決してきたのかを知っている人(③)は多くないでしょう。コンピュータがどのように動いているのかを理解できている人(④)はさらに少なくなります。
未来を予測するためには、④までは不要で、③の「原理」を知っているかどうかが重要だと著者は言います。
3. タイミングを見極める
最後は、適切なタイミングでアクションを起こすこと、そのために必要なリソースを調達することです。
リソースとは、資金だったり、自分のスキルや経験だったり、人脈だったりと、様々です。もしそれらの最低条件を揃えていないとチャンスに飛び乗ることはできません。
物事の原理を知り、技術的にもそれが実現可能であると理解できていて、適切なタイミングが予測できていたとしても、リソースがなければ成功の果実を得ることはできません。だからこそ、未来が読める「だけ」では価値はないと著者は言います。
まずは自分が持っているリソースを把握し、適切なタイミングが訪れるまでに足りない条件を揃えておくことが必要です。
まとめ
本書は「何十年後にこうなる」という具体的な未来予測を目的とした書籍ではありませんが、今後テクノロジーがどのような進化を遂げていくのか、それによって社会や私たちの生活はどのように変化していくかについての、具体的な予測も書かれています。
これからの働き方に不安を抱いている方はぜひ読んでみてください。未来の具体的なイメージが湧くと、好奇心が刺激されて前向きな気持ちが湧いてきます。そして未来を予測できる思考法が身につけば、より本質的に将来への不安を払拭できるようになるはずです。
モデルプロフィール
・名前 :三田寺円
・生年月日 :1991.8.30
・出身 :千葉県
・職業 :看護師
・やってみたい仕事:テレビに出たい!
・Twitter :@mtdr_mdk