英語の勉強法について書かれた本は巷に溢れていて、どの勉強法が正しいのかまったくわからないと思うのはわたしだけだろうか。
また学校で何年も英語を勉強しているのにまったく身につかないことに悩みを抱く日本人も少なくないように思う。
かくいう私も英語の勉強を続けているが、なかなか上達しないと実感している。そんな折、美女読書サロンの書籍リストにあった『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』という本が目に留まり、何かよいヒントが得られそうな予感がしたので読んでみた。
日本の英語学習は世界の学習法とは逆
著者によると、世界の標準的な語学教授法と日本の学校教育で教える勉強法とは、教え方がまったく逆なのだと言う。
日本の学校英語では、まず文法から入り、「文法の理解→単語の理解→文の理解→状況の想像」となるが、世界の標準的な語学教授法では、状況から入り、「特定の状況→文のインプット→単語と文法の理解」となる。
この説明だけだと理解しづらいかもしれないが、要するに、まず状況を把握した上で、それに応じた英文から単語や文法を理解するという手順が、世界の標準的な語学教授法なのだ。
これは動画を見る場面を考えてみるともっと分かり易い。動画を見る場合、視覚情報によってすぐに状況を理解することができる。その状況に応じて発せられた英文について、単語の意味と文法を調べるようにするということだ。この方が理解しやすく、記憶の残ることは想像に難くないだろう。
注意点としては、「日本語の字幕」を使わないようにすることだ。動画を使った学習の際には、とにかく「映像が伝える状況」と「英語の音声(+字幕)」をダイレクトにインプットすることにこだわる必要があると言う。
動画を活用した英語学習が効果的な理由
著者が強調するのは、動画を使って「状況」から得た知識は、理解度においても定着度においても、学校教育のような「お勉強」を圧倒的に上回るということである。
英語初心者の場合は特に、動画を徹底的に活用した方が効果的だ。なぜなら、単語帳や読解問題の「文字」だけを眺めて、「見たこともない情景」を想像するよりも、映像のなかの状況を頼りに、単語や文法の知識を膨らませていった方が、理解が早いし忘れにくいからだ。
英語学習において帰国子女が圧倒的に有利なのは、外国生活のなかで得た「基礎的なイメージ」を蓄積できているからだと言う。その意味で、英語環境に触れられるような動画を教材として活用し、単語に付随する「イメージ」をどんどん蓄積していくことは、英語学習において非常に有効な手法なのである。
このように著者は、動画で勉強することの重要性を読者にわかりやすく解説してくれる。動画教材は、今やNetflixやhulu、Amazonプライムビデオなどを使えば、自分の興味が持てるドラマや映画をいくらでも見つけることができる。また英語ニュース(スクリプトのあるもの)を選ぶのもよいだろう。
とにかくわかるまで何回でも繰り返して見るようにすることが大切である。
英語を「勉強」として捉えるな
著者がもう一つ指摘している重要なことは、英語を「勉強」として捉えてはいけないということだ。
英語学習の本来の目的は、英語を使ってコミュニケーションをとったり、何かを学んだりすることなのに、多くの人は英語が完璧に使えるようになってから本来の目的を達成しようとする。
そうではなく、たとえ未熟な英語力であっても積極的に英語でコミュニケーションをとっていったり、英語で何かを学んでみようと試みたりすることが大切なのだ。
英語はあくまでひとつの道具に過ぎないのだから、英語を習得することが目的になってはならない。
本書には、他にも英語の勉強法について多くのヒントが書かれている。どれも見逃すことができない重要なものばかりである。これから英語の勉強をはじめようと思っている人や、再度英語を勉強してみようと思っている人にとって、必須の書と言っても過言ではない。