「やわらかい頭の作り方」を学ぶべき理由。
変化のスピードが速い今の世の中において、過去の慣習や価値観に固執しない柔軟な発想=「やわらかい頭」が求められていることには多くの人が納得するでしょう。
しかし、往々にして人は、無意識のうちに自分(だけは)はそうしたものに囚われることなく、柔軟な発想ができていると思い込んでしまいがちです。例えば一つの業界で長く仕事を続けていると、その業界の「常識」が染み付いてしまい、それに反する新しい発想はしづらくなってしまいますが、中にいる人は自分たちがそうした思考に陥ってしまっていることに気づけないものなのです。
そうした自分を見つめ直し、今までと違う視点で身の回りの世界を眺めるためのヒントやトレーニング方法を紹介しているのが本書、『やわらかい頭の作り方』です。
「頭の柔軟性を上げる」ための30のヒントの中から、今回は「作用反作用の法則」について紹介します。
人間関係のおける「作用反作用の法則」
「最近のテレビ番組はくだらないバラエティばかりだ」
「役所の人はすぐに『何かあったら』と考えて、新しいことや与えられた自分の役割以外のことを一切やろうとしない」
「政治家は国全体のことを考えず、自分の関連団体の利益だけを近視眼的に考えている」……(P.59)
誰もが一度は頭に浮かんだり、口に出したことがある言葉ばかりではないでしょうか。本書では、これらの言葉の背景に共通して見える構造として「作用反作用の法則」を挙げています。これは「ある物体に力を加えたら、同じ大きさの力がその物体からも返されている」という力学の基本的法則です。
言っている側と言われている側、上の例では「テレビ局と視聴者」「役人と納税者」「政治家と有権者」という二者の構図において、片側からもう片側へ一方的な批判をすることは「作用反作用の法則」に照らしてみればおかしなことだと著者は指摘します。
なぜなら、相手がそうなっている原因を作ったのは多分に「こちら側」にもあるはずだからです。
例えば、テレビ番組が「くだらないバラエティ」ばかりになるのは、それが一番視聴率が取れるから(つまり視聴者が望んでいるから)ですし、役人が「事なかれ主義」になるのは、何かあればすぐに「お上のせいにする」という納税者の姿勢が、公務員を防御的にしている可能性が高いと著者は説きます。
また、自分の関連団体の利益だけを考える政治家が多い理由についても、民主主義における政治家の行動原理が「いかに(「民意」の反映としての)票を取れるか」ということにつきる以上、有権者が(全体として)そうした行動を望んでいるからということになります。
つまり、「相手を変える」ためには自分が変わることが必須条件になるということです。
この他、上司と部下との関係(「うちの部下はまともに報告や連絡もできない」)や、若者と年配者との関係(「近頃の若いものは……」)についても、同じことが言えます。
こうした一方的な批判はそこらじゅうに溢れていますし、あなたも同じ思考回路で誰かを批判してしまったことがあるでしょう。これからは、「その状況を作り出しているのは自分自身かもしれない」という「作用反作用の法則」を思い出し、その状況を打開するにはまず自分が変わることから始めなければいけないという発想を持ってみてはいかがでしょうか。
この視点を得ることは、「やわらかい頭」を作る上で間違いなく効果を生んでくれるはずです。
モデルプロフィール
・名前 :浅野愛梨
・生年月日 :1994.8.4
・出身 :茨城県
・職業 :獨協大学
・興味ある仕事:アナウンサー
・Twitter :@MissDokkyo14_01
・Youtube :浅野愛梨 I dream of…