まだ他人叩きで消耗してるの?「不寛容社会」から脱するための4つの心の持ち方

まだ他人叩きで消耗してるの?「不寛容社会」から脱するための4つの心の持ち方

まだ他人叩きに貴重な時間を割きますか?

 こんにちは。ライターの吉田まさきです。

 今や誰もがSNSで情報発信ができる世の中になりました。FacebookやTwitter、Instagramなど、主要なSNSは全て利用している私ですが、フィード上にはゴシップ記事や誹謗中傷のコメントがしばしば流れてきます。

 その多くは、芸能人の不倫や政治家の政治資金不正使用など、有名人を叩く内容です。SNSだけではありません。テレビや新聞でも、飽きもせず延々と同じ話題で有名人を叩き続けています。

 今回ご紹介する『不寛容社会』では、そんな日本の現状を「1億総叩き社会」と名付けています。

 著者の谷本真由美さんは、ツイッターではめいろま(@May_Roma)として活動し、鋭い言説が人気を呼んでいる一方、評論家としても活躍されている人物です。海外生活が長く、外から客観的に日本を観察してきた谷本さんによると、こうした他人叩きの傾向は、20年ほど前から続いていると言います。

 現代の日本社会の息苦しさの原因は、一体何なのか。谷本さんは、外国の報道のあり方や国民性にまつわるエピソードを交えつつ、その原因に迫っています。そして日本がより住みやすい国になるための方法を提案しています。

 本書は、ビジネスパーソン個人の能力向上に役立つビジネス書ではありません。しかし日本で働くビジネスパーソンの、公私両面の環境を改善するために役立つ一冊と言えます。

 本書を読んでも、あなたはまだ他人叩きに貴重な時間を割きますか?

なぜ「1億総叩き社会」になったのか?

 そもそもなぜ日本は「1億総叩き社会」に成り果ててしまったのでしょうか。

 その質問に答えるには、まず文化人類学的な見地から日本人の閉鎖性(島国根性とかムラ社会と呼ばれる)について考える必要があります。

 文化人類学者の中根千枝氏は、日本人の「ウチ」と「ソト」の断絶について指摘しています。

 家族や学校、会社など、毎日顔を合わせる集団における教育・訓練が重視された結果、「ウチ」という疑似家族が誕生し、同時にそれ以外の「ソト」という概念が生まれました。

 日本人は他国に比べて内弁慶が多いと言われますが、それは「ソト」は一種の別世界であり、「ソト」に出る際は、しっかり自分を切り替えていかないと恥ずかしい目に遭うと考えているからです。

 逆に「ソト」に出た瞬間、慇懃無礼な態度に変わる人もいます。例えば、会社(ウチ)では上司にへこへこしている人が、コンビニ店員(ソト)に対しては強気で無礼な振る舞いをする光景が典型です。

 「日本の庶民的な家族生活では、ソトにおける本当の人間関係設定の方法や機能的な行動様式を訓練する場がない」と中根氏は述べており、その通りだと感じます。

 日本人の閉鎖性は、「ウチ」と「ソト」が完全に分断していることに起因しているのです。




「資格」よりも「場」を優先する日本社会

 また、日本のムラ社会では、「資格」よりも「場」を優先する傾向があると言います。

 仕事内容(資格)よりも所属する会社名(場所)に興味があるように、「場所」を自分自身の一部であるかのように主体化するのです。

 大した実績はなくとも、「有名な会社・学校に所属している俺はスゴイ!」と思ってしまう具合です。実より名を取るこの傾向は、「どれだけ同じ時間を共有したか」を重視する考え方につながっていきます。

 会社の飲み会文化や学校行事などを思い出してみましょう。多くの「場」を共有して「ウチ」の意識を形成する習慣が日本人にはあります。それらの「場」が良い思い出になるのは否定しませんが、誰もがその「場」に適応できるとは限りません。

 問題なのは、「場」を今イチ楽しめない一部の人間を、「ウチ」の調和を乱す「ソト」の人間とみなして爪弾きにしてしまうことです。

 「ソト」の人間に対する接し方の分からない日本人が多いからこそ、攻撃的に接してしまうケースが増え、職場や学校におけるイジメにつながってしまうのでしょう。

成功した人は「ソト」の人間

 「ウチ」の人間はみんな同じという意識があるため、「ウチ」の誰かが成功を収めて成り上がった場合も「ソト」の人間扱いをしてしまう傾向にあります。

 「1億総叩き社会」の話に戻ると、なぜ一般庶民がSNSなどを通じて、芸能人や政治家を叩くのかご理解いただけると思います。

 一般庶民にとって、社会的に成功を収めている有名人は「ソト」の人間なのです。彼らが不祥事を起こしたとき、徹底的に冷酷なコメントを残せるのは、「ソト」の人間に対する嫉妬心がなせる業といえるでしょう。

 テレビや新聞といった大手マスコミは、そういった庶民感情を煽るべく、感情的・情緒的な番組や記事を量産しています。

 長く続いた経済不況や時代性を背景に、一般庶民はストレスフルな生活を強いられています。自分たちよりも明らかに裕福な有名人の、不祥事に関する扇動報道を目にすると、溜まりに溜まった日頃の鬱憤が爆発し、一般庶民の「ウチ」集団は「ソト」の有名人を疑似人民裁判にかけようとするのです。

 自分が世間の重要人物になった気になる、歪んだ正義感の顕れです。

マスコミが有名人を叩き続ける理由

 一方、マスコミにとっても、有名人叩きのニュースは非常にコスパが良いという側面があります。取材に時間をかけて行政の重大な不祥事を暴くのではなく、不倫や少額の政治資金不正使用といった些細なゴシップを延々と報道するのはそのためです。

 イギリスをはじめとする海外では、マスコミが行政を厳しく監視する機能を担っています。そのため外部から専門家を積極的に受け入れたり、学術機関の教育を税金で受けさせたりと、マスコミが鋭い批判を展開できるよう、知見を習得させるための制度が整っているのです。

 この点、日本のマスコミは人材流動性が低く、行政や科学技術といった専門性に欠ける社員が多いため、舌鋒鋭い記事を執筆できないという問題があります。

 我々視聴者は、日頃からこのことを念頭に置いて、ニュースを見る必要があると思います。

 「1億総叩き社会」とは、元々の日本人の気質に、時代背景が暗い影を落としている状況といえるでしょう。

 それでは、どうすれば日本国民の歪んだ正義感を矯正して、日本をより住みやすい国に変えていけるのでしょうか。谷本さんは4つの持つべき心のあり方を提唱しています。



①人と自分は違う(個人主義の浸透化)

 他人を叩こうと思うのは、「他人と自分は同じ」という思想に基づいているからです。最初から他人と自分とは違う存在なのだと認め、比較することをやめれば心が楽になります。

 本書では、日本人が学ぶべきメンタリティーの持ち主として、中国人を挙げています。中国人は面子第一主義で、他人を気にせず、自分を堂々と主張するメンタリティーを備えています。

 中国社会では、物事を動かし、自分の力を誇示するための行動力が評価されるため、中国人の気質は内向きの日本人とは真逆なのです。

 この「他人は他人、自分は自分」の「個人主義」を日本人にもっと浸透させることで、「ウチ」「ソト」の断絶も解消されていくのではないかと思います。

②異なるものに寛容であれ

 これも「ウチ」と「ソト」の断絶に起因しますが、著者はもっと「ソト」の人間に寛容になるべきだと説いています。

 「ウチ」集団に馴染まないから排斥するのではなく、その人の能力や資格に目を向けて評価するよう心がけるべきです。

 場の均等を重視し過ぎるようでは、革新的なアイデアや企業は世の中に生まれません。ベンチャー企業の社長など、社会に変革をもたらすのはいつも変わった人なのです。

③大雑把になれ!

 些細なことで他人と自分とを比較して劣等感に陥り、他人に対して攻撃的な姿勢をもってしまうと、相手も自分も幸せになれません。

 常にリラックスして過ごすようにすれば、他人にも寛容になれて、劣等感にも苛まれることがなくなります。余計なストレスを溜めないように心がけていきましょう。

④高望みしないで自然の摂理に従え

 古代中国の「老子」思想に似た考え方です。人間なんて最初から欲・不道徳にまみれた怠惰な存在だと認識し、自分の人生をあえてシニカルに、そして現実的に捉えることを勧めています。

 この思想も「①人と自分は違う」の考え方に立脚しています。有名人と自分とを比較して高望みするのではなく、日々の生活を自分の好きなように、無理しない程度に生きましょう。

 最近自己啓発本ブームですが、成功者の著作を読む心理は、いつか自分も彼らのように成り上がりたいと期待しているからでしょう。

 この点は賛否両論あると思いますが、将来への過度な期待を捨てて気楽に生きることで、むしろ成功への扉がふとした拍子に開くかもしれません。

 谷本さんが示した4つの心のあり方は、現代日本のビジネスパーソンが感じている息苦しさを解消するきっかけになるかもしれません。

 日本国民みんなが肩の力を抜いて、自分と他人は違うのだと割り切れることができれば、日本社会に充満する不平不満のガスは消えていくと思います。

執筆者プロフィール

吉田まさき
石川県金沢市在住。地元企業で営業マンとして働く傍ら、週末はフリーライターとしても活動しています。キャッチフレーズは『走る本の虫』。読書好きで活字に埋もれる日々ですが、社会人になってからはマラソンも趣味にしています。地元の金沢マラソンは勿論、全国各地の大会に出没しています。

今後の目標は、「読む・書く・走る」の三点倒立を継続しながら、いずれ紙の書籍を出版することです。出版した本を枕代わりに敷いて寝たい変人チックな私ですが、皆さまどうぞよろしくお願いします!

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