こんにちは、西宮エヌです。今回紹介する『自己肯定感の教科書』、その帯文には「人生は自己肯定感で10割決まる」と書いてあります。
それほどの影響力をもつ「自己肯定感」を少しでも高め、より豊かな人生を歩むためにはどうすればよいのでしょうか。
そもそも自己肯定感とは?
自己肯定感とは「自分が自分についてどう考え、どう感じているか」によって決まる、自分の価値に関する感覚であり、誰もが備え持っているものだと著者はいいます。
これをひも解くと、以下の「6つの感」によって支えられているそうです。
①自尊感情
自分には価値があると思える感覚
②自己受容感
ありのままの自分を認める感覚
③自己効力感
自分にはできると思える感覚
④自己信頼感
自分を信じられる感覚
⑤自己決定感
自分で決定できるという感覚
⑥自己有用感
自分は何かの役に立っているという感覚
この「6つの感」はそれぞれが密接につながり、連鎖的な影響を受け合いながら「自己肯定感」を形づくっています。
自己肯定感の基礎知識
自己肯定感は周囲の環境に影響を受け、高くもなれば、低くもなります。
また、生まれ育っていく過程で自己肯定感が強くたくましく育まれている人と、弱く揺らぎやすい状態のまま大人になる人がいるといいます。言わば、自己肯定感そのものの総量が多い人と少ない人がいるのです。
自己肯定感が弱いということは、それだけ人生のなかで心の痛みを経験するということでもあります。
しかしだからこそ、人の心の痛みを理解でき、人に優しくなれると著者は述べます。それは大いなる長所でもあります。
1. 自己肯定感は揺れ動く
先に自己肯定感は「環境」によって高くもなり、低くもなると述べました。
どんなに強い自己肯定感を持った人であっても、たとえば大切なパートナーと大喧嘩になった後などは一時的に気持ちが落ち込んでしまうこともあるでしょう。
そんな時は、「今朝パートナーとけんかをしたから、今、私は気分が落ち込んでいる」と客観視し、今の自分は自己肯定感が下がっているのだと知ることが大切なのだそうです。そうするだけでも、心は楽になるのです。
「自己肯定感は揺れ動くものである」と知り、「今、自分の自己肯定感はどういう状態にあるのか」を意識することで、どんな環境でも自分をフラットな状態に戻すことができそうです。
2. 自己肯定感の高め方2つ
自己肯定感を高めるには、「瞬発型」と「持続型」の方法を組み合わせると、より優れた効果を発揮するそうです。
- 「瞬発型」…すぐに実行でき、一瞬でパッと高まる方法
- 「持続型」…ブレない軸をつくり、じわじわと高める方法
具体的には、「瞬発型」のテクニックを用いて「モチベーション」を上げ、「持続型」のトレーニングで「ブレない自分軸」をつくることが目指す完成形です。
以下、本書で紹介されている24の「瞬発型テクニック」の中から4つご紹介します。
「瞬発型」のテクニック一例
- 目覚めたら窓を開け伸びをする
- 自分にポジティブな言葉をかける
- 好きなもの(絵や写真など)を玄関に飾る
- 少し歩いてみる
→サーカディアンリズム(体内時計)が整う
→潜在意識が肯定的に書きかわる
→エンドルフィン(ストレスが軽減される物質)の分泌
→セロトニン(爽快感)の分泌
3. スモールステップの原理
どちらの型のトレーニングにも共通することとして、小さなステップを踏む感覚(「スモールステップの原理」)が大切、という点があります。
人間の脳にやる気を出してもらうためには、報酬系と呼ばれる脳の回路を満足させる必要があります。
報酬系を満たしやすい条件は、次の2つ。
- 達成できそうな課題にとり組むこと
- 課題を達成したという成功体験を得ること
1つの小さなステップを踏めたと感じたとき、自分に「よくやった」などとご褒美の言葉をかけてあげましょう。
それによって、最終的に自己肯定感を高めることが潜在意識まで根づきます。
4. 自己肯定感を下げる罠
一方、自己肯定感は成長するにつれ、下がっていくおそれがあるといいます。
その理由の1つは、経験が増えるからです。特に失敗体験は記憶に深く残り、似たようなことにチャレンジしようとしても失敗の記憶が蘇ってしまいます。
もう1つは、比較対象が増えるから。学歴、容姿、年収など、他人と比較をすることで自己否定してしまう原因となるのです。
過去のトラウマや劣等感により、自分で自分を認められないとき、人は周囲から認められたいという承認欲求が強くなります。
すると、行動が依存的になってしまいます。勉強なら、教師や親に認められるためにがんばる状態です。
承認欲求が強くなったら、自己肯定感が低くなっているのだな、と俯瞰的に気付くことがポイントになります。
そして、変えられない過去や、比較対象である変えられない他人のことで悩まないよう、自分自身が納得することが大切なのだと著者は説きます。
5.自己肯定感をじわじわ高める方法
最後に、自己肯定感を高める「持続型」の方法を3つご紹介します。
(1)ライフチャート
- まず、あなたの人生にとって大切なことを8つリストアップしてください
- 8つの項目で円グラフを作ってください
- 今のあなたの満足度を10点満点中で何点か採点し、そこに●をつけ、それぞれを線で結びます
例)大事な人、お金、学び、対人関係、健康、仕事、娯楽、プライベート
すると、あなたの現状を客観視する円グラフができあがるはずです。
ポイントとなるのは、もっとも低い点数をつけた項目です。それがあなたの自尊感情を傷つけ、自己肯定感を低下させている主な原因です。
一気に4点、5点とあげようとせず、1点だけ上げようという目標をたて、達成することが「1点なら変えられる」という自信につながります。
(2)課題の分離
このトレーニングは自己肯定感が低下しとくに対人関係でつまずいた時に効果を発揮します。
原因がどこにあるのかを仕分けていく心理的テクニックで、アドラー心理学の中心をなす理論の1つです。
たとえば「相手にどう思われるか?」という不安を、課題を分離して考えてみましょう。
感じている不安の正体を「自分の課題」と「他人の課題」に分けていきます。
「相手が自分のことをどう思うか?」と言い換えると「他人の課題」であることがわかり、それは自分が不安に感じ、真剣に悩むべき課題ではないのです。
(3)リフレーミング
リフレーミングは、否定語を肯定語に変えるトレーニングです。
家事のお手伝いをしたいと思い始めた子どもに飲み物を運んでもらうとします。そのとき、「こぼさないでね」と「しっかり持っていってね」のどちらのほうが、子どもは飲み物をこぼさず運ぶことができるでしょうか?
答えは「しっかり持っていってね」という肯定語です。肯定語は成功をイメージさせる言葉。対して否定語は失敗をイメージさせる言葉や不安、恐れを喚起させる言葉です。
否定語は自己肯定感を低くし、肯定語は自己肯定感を高めます。また、相手に対して肯定語を伝えることは、潜在意識では自分に肯定語を向けていることにもなるのです。
本書では、この他にもたくさんの[持続型]トレーニング方法が紹介されています。
『自己肯定感の教科書』を読んで、「自分は何があっても大丈夫」と思える心を育んでみてはいかがでしょうか。