あけましておめでとうございます。運営のわたなべです。新年1本目の記事ということで、抱負を一つ。
今年は、紹介するビジネス書のカテゴリーの中で、人工知能・AI、仮想通貨、ブロックチェーンのようなテクノロジー系の本を厚くし、これから世の中がどのように変わっていくのか、そこで私たちはどのように働き、生きていけばいいのかを考えるための、基礎となるような情報を多く発信していこうと思います。
同テーマの本は、これまでも何冊か紹介してきましたが、こうしたテクノロジーの基本をきちんと理解できるような記事の作り方をしてきていないので、その辺りを改善し、より参考にしやすくなるような動線設計を施したいと思います。
さて、先日オンラインサロンの運営報告記事にて、佐藤航陽さんの『お金2.0』を紹介しました。
本書に記されている「持続的かつ自動的に発展していくような『経済システム』に共通する5つの要素」というのが、サロン運営に非常に役立つからです。
5つの要素とは下記の通り。
- インセンティブ(報酬が明確である)
- リアルタイム(時間によって変化する)
- 不確実性(運と実力の両方の要素がある)
- ヒエラルキー(秩序の可視化)
- コミュニケーション(参加者が交流する場がある)
これら5つの要素が内在している「経済システム」は、持続的かつ自動的に発展していくということです。Webサービスはもちろん、オンラインサロンも一つの「経済システム」ですので、これらの要素を押さえた運営をした方が、うまく発展させていけるはず。
ということで、今回はそれぞれの要素について、「美女読書」編集室のサロン運営に当てはめて紹介してみようと思います。
①インセンティブ(報酬が明確である)
参加する人に何かしらの報酬や明確なメリットがなければ、そもそも人が集まりません。当たり前のように感じますが、「この要素が抜けていて失敗することが実は最も多い」と佐藤さんは言います。
「素晴らしいと思うけど積極的に参加する気にはなれない」という組織やサービスは、このインセンティブの設計が欠けています。(P.52)
インセンティブには、人間の「生物的な欲望」(衣食住や子孫を残すことへの欲望)や、「社会的な欲望」(金銭欲・承認欲・競争欲)を満たすものがあって、現代は社会的な欲望の方が目立ってきていると言われています。
中でも頭文字をとって3M(儲けたい・モテたい・認められたい)の3つが、欲望としては特に強く、これらの満たすようなシステムは急速に発展しやすいのだそうです。
「美女読書」編集室では、ひとまず「認められたい」という欲求に対して、毎月のMVPを発表することにしました。メディア自体に大した影響力がないため「認められてる感」としては弱いかもしれませんが、それでも、少なからず「承認欲」を満たす効果があるはずです。
また「儲けたい」という欲求に対しては、今後ライティング力の高いライターさんに、報酬がもらえる書評記事の執筆案件を依頼する企画をスタートします。
1本あたり3,000円〜5,000円で、ライター報酬としては高いとは言えないかもしれませんが、「好きな本を読んで、アウトプットして知識を自分のものにする」というサロンの主旨に則りながら収入が得られるのであれば、多少なり喜んでいただけるのではないかと思っています。
出版社さんや著者さんにとっては、発売日に合わせてネット上で複数の書評記事を一気に公開することができるため、一定のプロモーション効果が見込めます。
先日の記事で簡単にお伝えした結果、さっそく依頼が入ったので、近日、正式な企画としてスタートしようと思います。ご興味のある出版社さんや著者さんはぜひお問い合わせください。
→ bijodokusho@gmail.com
②リアルタイム(時間によって変化する)
「時間によって状況が常に変化する」という要素のことです。必ずしも本当にリアルタイムである必要はありませんが、常に状況が変化するということを、参加者が知っていることが必要だと言います。
なぜなら、人間(生物)は変化が激しい環境では緊張感を保ちながら熱量が高い状態で活動することができるものの、変化が全くない環境では、緊張も努力もする必要がないため、全体の活力が次第に失われていくからです。
これはサロンメンバー限定のFacebookグループをより活性化して、私が新刊の追加情報や記事の公開・アクセス数報告、新企画やイベント告知などを頻繁に行い、またメンバー同士が投稿やコメントを気軽にし合えるコミュニティにしていくことが重要だと考えています。
つまりタイムラインが頻繁に更新されるという状況を作っていくべきということですね。
③不確実性
(運と実力の両方の要素がある)
「不確実な要素」があったほうが、経済システムとしては活気が出るといいます。
人間は生存確率を高めるために不確実性を極限までなくしたいと努力しますが、一方で不確実性が全くない世界では想像力を働かせて積極的に何かに取り組む意欲が失われてしまいます。(P.53)
自らの思考と努力でコントロールできる「実力」の要素と、全くコントロールできない「運」の要素が良いバランスで混ざっている環境のほうが持続的な発展が望めるというわけです。
たとえば当サイトの場合、公開した記事のPV数が伸びるかどうかは、SNSでの拡散や、SmartNewsに掲載されるかどうかが大きく影響しています。記事の内容がしっかりしている(=実力がある)ことが重要なのは言うまでもありませんが、著者さんやフォロワーさんからシェアされ、拡散の火が着くかどうか、SmartNewsのいい位置に掲載されるかどうかというのは、運によるところが大きいのです。
この要素は内在されていると言えるので、あとは「運」によって成果が上がった事例を可視化して伝えていくことが必要かなと思います。
④ヒエラルキー(秩序の可視化)
持続的に発展する「経済システム」を作る上では、秩序が可視化されている必要があると言います。
なぜなら「経済」は実物のない、参加者の想像の中にだけある「概念」にすぎないため、目に見える指標がないと、参加者は自分の立場がわからなくなってしまうからです。
また指標が存在することで、自分と他人との距離感や関係性をつかみやすくなるメリットもあります。
秩序とは、偏差値、年収、売上、価格、順位のような数字として把握できるものから、身分や肩書きのような分類に至るまで、さまざまな基準で可視化することができます。
Webメディアで言えば、PV数やシェア数を基準にランキングをつけるのは、秩序の可視化の一つです。
注意しなければならないのは、このヒエラルキーも、それが固定化されると、②リアルタイム(時間によって変化)と、③不確実性(運と実力の要素)が失われ、全体の活気を失わせる原因にもなるということです。
当然、優位なポジションを手に入れた人はその地位を守ろうとするので、新陳代謝を強制的に促す仕組みを組み込んでおく必要があると言います。
⑤コミュニケーション
(参加者が交流する場がある)
最後は、「経済システム」そのものに参加者同士のコミュニケーションの機会が存在しているということです。
人間は社会的な生き物なので、参加者同士が交流しながら互いに助けあったり議論したりする場が存在することで、全体が1つの共同体であることを認識できるようになると言います。
そのコミュニケーションの場を通して、問題があったらアイディアを出しあって解決したり、1人ではできないことを共同で実現したりできるようになります。この要素が、システム全体をまとめる接着剤としての機能を発揮します。
この点がもっとも課題に感じていることであり、なおかつ答えが見つけづらい部分だと感じています。メンバー同士が自然とコミュニケーションを取り合いたくなるような環境や仕組みというのは、残念ながら今の明確な答えが見つけられていません。今年はこの点について何らかの試みができたらと思います。
まとめ
これら5つの要素のサロン運営への具体的な活用法としては、まだまだ詰めきれていない面がありますが、「経済システム」の成長と発展のために重要であるという点については共感いただけたのではないかと思います。
本書では、さらに「経済に持続性をもたらす2つの要素」として、「寿命による移動先」と「共同幻想」についても解説されています。これらのノウハウは、サロンのようなコミュニティ運営に限らず、組織やサービス、プラットフォーム作りなど、あらゆるものに応用することができる普遍的な法則です。
経済システムの設計に興味がある方はぜひ読んでみてください。