なぜ、今の時代は「遊んでるヤツが強い」と言われるのか?

なぜ、今の時代は「遊んでるヤツが強い」と言われるのか?




 最近、「遊び」というキーワードをビジネス書で頻繁に目にするようになりました。

 単純作業をAI・ロボットが代替してくれるこれからの時代は、人間がやらなければならない仕事が減り、余暇が増える。そこでは「遊んでる人が強い」、あるいは「遊びそのものが仕事になる」という文脈です。

 後者については、YouTuberやインスタグラマーといった「インフルエンサー」としての仕事が有名になってきているのでイメージしやすいと思います。何万人、何十万人、何百万人とファンがついている人は、自分の日常や好きなことについて情報発信することが、ユーザー(の余暇時間)を満たすエンタメになっており、それで収益を得ることができています。これは「遊びが仕事になっている」と言えるでしょう。

 そしてこの「遊び(仕事)」は、ユーザーの余暇時間が増えるほどニーズが高まるため、彼らの仕事は(プラットフォームやコンテンツのフォーマットは変わるにせよ)今後も増えていくと予想されます。

 しかし一般的な会社員にとっては、インフルエンサーのように「遊びそのものを仕事にする」ことは、なかなかハードルが高いと思います。会社の業務との関連性が極めて高い場合や、会社に内緒で(あるいは許可を取って)副業として行う場合を除いては、その道を歩むことは困難でしょう。

 つまり大半の人に重要なのは、「遊んでる人が強い」という文脈を読み解き、現在の仕事に活かす方法を知ることです。

 でも、「遊び」って何でしょう? 暇さえあればスマホゲームをやったり、漫画を読んだり、映画を見たり、お酒を飲んだりしていれば、「強い」ビジネスパーソンになれるのでしょうか?

 数々の著名人が語っている「遊ぶこと」の重要性を、私はいまいち理解できていませんでした。

 しかし『FUTURE INTELLIGENCE〜これからの時代に求められる「クリエイティブ思考」が身につく10の習慣〜』という本を読んで、その疑問は解消しました。

 本書は、クリエイティブ思考の人々に共通する傾向と習慣についてまとめたもので、第1章のテーマが「遊びー楽しいことで脳を刺激する」となっています。この章を読むと、遊ぶことの大切さと、その具体的な効果を理解することができます。



なぜ遊んでるヤツが強いのか?

 遊びに本質的な機能があるとすれば、それはクリエイティブ思考と柔軟な脳の発達を促すことだ。(P.25)

 結論からいうと、遊び心は、常識的な考え方からの脱却を促し、脳の柔軟性を高めてくれる、だから遊んでる人は創造性が高く、他の人と違う発想ができるため成功しやすい、ということです。

 確かに、遊び心のない人は、どうしても「常識的な」考え方の枠から外れられません。どれだけ意識して「自由にアイデアを考えよう!」と思っても、発想の幅が広がらず、ありふれた結論に落ち着いてしまうものです。

 私自身、何で自分はこんなにも平凡でつまらないアイデアしか思い浮かばないんだ…とあきれてしまうことばかり。

 それは「遊び心」が足りていなかったからなのでした。

 大切なのは、遊び心をもって仕事に取り組むこと、つまり「遊ぶように仕事する」ことです。でも、たいていの人はそれができません。なぜなら、私たちは大人になるにつれて遊び心と好奇心を忘れ、「仕事=深刻で難しいもの(でなければならない)」と思い込んでしまうからです。
 
 もちろん仕事で成功している人は、真剣に考え、仕事に多くの時間と努力を注ぎ込んでいます。しかし傑出した天才たちは、仕事における「真剣さ」と「遊び」のバランスをうまくとっていると著者は言います。

 遊び心を持っていると、長時間働いても、強いストレスを感じたり、消耗したりせずにいられるようになります。「遊んでいる大人は老いない」と言われるのは、遊ぶことの多い大人はストレスを感じにくく、人生に満足しているからなんですね。



仕事に生きる「遊び」とは?

 では、具体的にどのような「遊び」をすればいいのでしょうか?

 本書によると、子どもにとっての「遊び」は、好奇心を発揮して馴染みのないものに慣れていく手段であり、遊びを通して自分自身のことや、まわりの環境と自分との関係を理解しようとしているといいます。

 たとえば「ごっこ遊び」や「空想遊び」を通して、複数の視点に立ち、さまざまな感情や発想を操ったり、作家と俳優と監督の役割を担い、物語を創作したり演じたりする。

 著者は、「架空の世界の創造は、最も複雑なごっこ遊びで、クリエイティブ思考を鍛えるための格好の手段となる」と述べています。

 これをビジネスパーソンの文脈に当てはめてみると、仕事でもプライベートでも、「知らないこと」に対して好奇心を持ち、馴染みのないものにチャレンジしてみることや、架空の世界(仮説的なビジネスモデルやアイデアなど)を果敢に創造していくことが「遊び」と言えそうです。

 ちなみにスーパーマリオブラザーズの生みの親、宮本茂さんは、「実用的でないものは何でも遊びになる。つまり遊びとは、動物として生きていくのに必要でないことを、あえてすることなのだ」と語っています。

 こう考えると、私たちの日常には「遊び」があふれていることに気づきます。読書も遊び、ゲームや運動も遊び、仕事や勉強でさえも遊びとなります。

 私たちが人生において行っていることのほとんどは、ゲームと同じく「ただ楽しむため」のものであり、それは人生を幸せに生きるためだけでなく、仕事で結果を出すためにも欠かせないものである、という著者の主張は、私にとってとても腹落ちするものでした。

 日常で出会い、経験するあらゆることに対して、「遊び心」をもって楽しむことができれば、私たちはもっと人生の充実度を高められるはず。これからは「遊び心を持って仕事をする」こと、「遊ぶように仕事をする」ことを意識していきたいと思います。




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