こんにちは。読書家のわっくんです。いつも書評記事をご覧いただきありがとうございます。
本日は、山崎拓巳さんの『最高のアウトプットができる スゴイ! 学び方』をご紹介いたします。
私は一度、山崎さんの講演会に参加したことがあります。話し方もさることながら、その話題の豊富さに驚きを覚えました。YouTubeでも山崎さんのセミナーが無料公開されているので、よく視聴するのですが、毎回招待したゲストから何でも学び取ろうという姿勢が素晴らしいと感じていました。
そんな山崎さんが「学び」の大切さに気づいたのは中学生の頃だったと、本書で述べられています。
僕が「学び」の秘密に気がついたのは、中学生のとき、陸上競技のハードルをやっていたある日のことでした。当時の僕は110メートルハードルをやっていたんです。110メートルにハードルが10台ならぶ、あれです。三重県の選抜選手の合宿で、ある有名なコーチとお話をする機会がありました。
「山崎にとってハードルとはなんだ?」と問われ、
「ロスなくスムーズにハードルを飛び越える競技です」と答えたところ、「ハードル種目というものは、ハードルを美しく飛ぶ競技ではない。ハードルとハードルの間をいかに速く走るかを競う競技だ!」
とそのコーチは言い放ったのです。
聞いた瞬間は、「えっ?何それ?」でした。だって、それまでの僕は、ハードルをいかに美しく、上手に飛ぶかばかりを考えていました。でも、このたったひと言のアドバイスを意識したら途端に驚くほど記録が伸びたんです。
「えーーーーっ!!!」でした。
だって、時間にして、たった10秒のアドバイスですよ。僕にとっては、まさに衝撃の体験。
「知っているのと知らないのとでは、こんなに違うんだ!」
学んでいる人は、学んでいない人よりも、効率的に早く、答えにたどりつける。「学び」ってスゴイ!!!
これが、山崎さんの「学び」に対するベースになっている体験だといいます。
本書からは「スゴイ! 学び方」の普遍的な法則について知ることができます。以下、本書内容を要約してご紹介します!
1.答えを知っている相手から学ぶ
冒頭でお伝えしたように、山崎さんは中学生のときに、ハードルの名コーチからたったひと言のアドバイスをもらっただけで、あっという間に記録が伸びるという経験をしました。
この経験によって、「だったら、回りくどいことをせずに、すでに答えを知っている人のところに聞きにいくほうが早い」ということに気づいたそうです。
当時の山崎さんが自分で努力をし、ただ頑張るだけでその「答え」にたどりつけるかどうかはわかりません。もしかすると「到達するのに時間がかかる」どころか、「到達できないで終わってしまう」かもしれないのです。
多くの人は、つい、「努力は裏切らない!」とか、「素晴らしい人は自分たちと違って、能力が違うんだ」と考えてしまいます。
しかし「遠回りどころか、到達さえしないかもしれない」という状態で努力を続けていては、成果に結びつかない努力に終わってしまいます。
すでに答えを知っている人から答えを聞いて、それを知ったうえで努力した方が、その効果は何十倍にも膨れあがります。
2.新しい知識を得る際の「学びの手順」
では、答えを知っている人が身近にいない場合はどうすればいいのでしょうか。
第2章では、「1人で学ぶ」方法についてフォーカスしています。
たとえば、山崎さんはセミナーなどでAIに関する話をよくするため、いろいろな人から「AIについて詳しいですね。どうやって知ったんですか?」と聞かれるそうです。
AIに詳しい知人から話を聞くだけではなく、次のような手順で学んでいったそうです。
- AIについてネットで検索する
- YouTubeの動画を見る
- AIに関する本を読む
- AIについて、人にしゃべってみる
- セミナーで発信する
①AIについてネットで検索する
インターネットで「AI」とキーワード検索すれば、山のように解説文が出てきます。まずはネットで検索をして概略を理解します。
②YouTubeの動画を見る
次は、YouTubeでAIに関する動画をひと通り観たり聴いたりします。後述しますが、このとき、学んだ内容を自分のノートにチャートでまとめて理解を深めたそうです。
また後で見返したくなる可能性があるものは、URLをエバーノートなどにコピペしておいたり、友達にシェアしたりすることで、学習効率がアップし、楽しみが倍増するといいます。
③AIに関する本を読む
ここまできてからAIに関する本を読みます。AIに関する本は骨太なものが多く、少し前情報があったほうが飲み込みやすいかなと判断したからだそうです。
④AIについて、人にしゃべってみる
学びでインプットした情報をアウトプットするフェーズです。ブログに書いてみたり、人に話してみたりすることで、ランダムに学んだコラージュ状態の情報が、整理整頓され、系統立てられていきます。
人に説明しようとすると「あれ? 全然、わかってない」と気づくことができ、話をすることで記憶に定着していきます。また新たな気づきにつながることもあります。
山崎さんが新しいビジネスのアイデアをひらめくのも、仕入れた学びについて人と話しているときのことが多いといいます。
⑤セミナーで発信する
最後は、セミナーで話をするなど本格的な発信です。この頃にはもう、理解が深まっているので、聞いた人からは「どうしてそんなに詳しいのですか?」と思われるようになります。
3.「チャート」にまとめる
上記の学びの手順の中で触れた「チャート」を使ったインプット法についてご紹介します。
チャートとは、情報の視覚的表示、図・表・グラフ等の総称です。
このチャートというのが、本当にわかりやすく、山崎さんが学びをインプットする際の武器になっているといいます。
たとえば、「○○の秘訣は6つある」と文章で書いてあったら、そのあとに続く膨大な文章のなかから、その6つを見つけ出さないといけません。
しかしそれがチャートになっていれば、「○○の秘訣」という枠から6本の矢印が出ていて、矢印の先に1つずつ秘訣が書いてあるので、とてもわかりやすく、理解しやすくなります。
仮に第1の秘訣に、注意点が3つあったら、その秘訣の枠の中に「注意点1」「注意点2」「注意点3」と連番して並列させます。さらに、その3つの注意点のうち1つ目が特に大切だったら、1つ目にだけ色づけします。
このように文字だけの文章に比べて、チャートにすると圧倒的にわかりやすいし、その文章が伝えたいことの全体像を、ひと目で見渡すことができます。
山崎さんはセミナーでのスピーチ原稿もチャートで書いているそうです。
「みなさま、こんにちは。私、山崎拓巳と申します。朝、起きまして、遅刻するかと・・・・・・」のようにズラズラと文字で原稿を作ると、1度、目が原稿を見失うとどこを話しているかわからなくなってしまいます。
一方、これを話したら次はこれ、と順番を決めて、流れを図式化しておくと、そうした心配がなくなります。
「今日の朝からここまでの道のりの話」
↓
「この街が2度目だという話」
↓
「主催者さんと古い友だちだという話」
↓
「こんな夢を先日、見ましたの話」
↓
「今日伝えたいことが3つある」
↓
「1、2は・・・・・・」
↓
「3は・・・・・・」
↓
「まず、1について話します」・・・・・・。
このようにチャートを使ってスピーチをすると、自分がスムーズに話せるようになるだけでなく、受け取る側もわかりやすく、驚きをもって受け取ってくれるようになります。
テンプレートに沿った話の構成は、伝えやすく、かつ、受け取りやすいのです。とても効果的なので、ぜひ試してみてください。
おわりに
本書の「学び方」の要点をまとめると、以下のようになります。
- 既に答えを知っている先人に教えを乞う
- インプット ⇒ アウトプットを繰り返す
- 学んだ内容をチャートにまとめる
なかでも、私が一番共感したのが、「①既に答えを知っている先人に教えを乞う」です。
現・読売ジャイアンツのキャプテンである坂本勇人選手がどのように成長してきたか紹介しているYouTubeの動画がありました。
坂本選手は打率が良い選手に「どうすれば打てるようになるのか」をひたすら質問をしたといいます。先輩選手はもちろん、後輩選手にも熱心に教えを求めたそうです。
さらに坂本選手は、既存の自分の打撃スタイルに固執せず、どんどん頂いたアドバイスを元に変化していったのです。私はここに「学び方」の極意があると思います。
プライドが高いと、どうしても周りからのアドバイスを受け入れられなくなってしまう場合があります。メンターからのアドバイスは素直にまず試してみる。行動した後に理由が分かることは往々にしてあります。
また、上記の「②インプット⇒アウトプットを繰り返す」をどれだけ実行できるかが、スキルを会得できるかどうかの鍵を握っています。
そしてインプット時の手助けとなるのが、「③チャートにまとめる」という方法です。
これらは明日からすぐに実践できる内容なので、皆さんも先人たちの知恵を借りて、「スゴイ!学び方」を試してみてはいかがでしょうか。