他人と比較して落ち込んでしまう人へ…「比較」を前向きな力に変える方法

他人と比較して落ち込んでしまう人へ…「比較」を前向きな力に変える方法




 突然ですが、仕事や人生で花を咲かせるためには、周囲の人に対しどのように振舞えばよいと思いますか? 端的に答えを出せる人は少ないと思います。

 他人との関係性は、誰しも一度は頭を悩ませるテーマでしょう。『競争と協調のレッスン』は、会社の同僚、友人、配偶者、兄弟姉妹といったあらゆる人間関係の悩みを社会科学的に検証した本です。

 著者のアダム・ガリンスキー氏とモーリス・シュヴァイツァー氏は心理学、マネジメント、経済学などの分野で200以上の論文を共同で発表している人物。『エコノミスト』などの有名媒体にも多数寄稿し、高い評価を受けています。

 実際、日本でもベストセラーとなった『やり抜く力 GRIT』(ダイヤモンド社)の著者アンジェラ・ダックワース氏も「間違いなく使える」と本書にお墨付きを与えているので、内容の信頼性は確かと言えます。

 この記事では、成功に必要な対人関係を築くために理解すべきことを紹介します。「競争」と「協調」のあいだでバランスをとりながら、軽やかに移動するーーこれができれば、社会の中であなたの身を守ることができます。

 では、そのために押さえておくべき前提とは何なのか? 今回は「比較」に焦点を当てていきましょう。

「編集者の寄稿企画」について
 この記事は、編集者様・著者様自身に担当ビジネス書の紹介文を執筆いただいたものを当方で編集する寄稿企画の記事です。
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「比較」は人を生かしもするし殺しもする

 私たちには他人と自分とを比べる本能が備わっています。比較は人をポジティブにもネガティブにもする力があります。

 イギリスの政治家の兄弟を例にとって考えてみましょう。兄デイヴィッド・ミリバンドと弟エド・ミリバンドを巡る物語です。

 2010年労働党のブラウン首相が辞任した際、次のリーダーは兄のデイヴィッドと目されていました。彼は外務大臣をつとめるなど、権力への階段を順調にのぼっていたからです。ところが状況は一変します。弟のエドが党首選に立候補したのです。 

 下馬評どおり序盤はデイヴィッドが有利に選挙戦を戦いましたが、エドが最終的に勝利し労働党党首に就任します。その結果、何が起きたのでしょうか。

 なんと、デイヴィッドは母国を離れる決断をします。次の言葉を残して弟と遠く離れたニューヨークに移り住んだのです。

 これほど頻繁に弟と比較されては、まともに仕事などできるはずがない

 デイヴィッドの悔しさがまじまじと伝わってくる言葉です。この背景には「社会的比較」の存在があります。

 社会的比較とは、自分の立ち位置を見定めるために、周囲と自分を比べる行為のことです。他者と比較することによって、人は協力したり、競争したり、場合によっては完全にその関係から撤退したりします。

他人との比較は避けられない。

 人は自分が幸せかどうか、周囲を見て判断します。つまり私たちが生きている以上、他人との比較は避けられないということです。

社会的比較には上向きと下向き両方ある。

 他者との比較によって向上心が刺激されることもあれば、落ち込んでしまうこともあります。また気分がよくなることもあれば、慢心してしまうこともあるでしょう。つまり、比較にはポジティブな面とネガティブな面、両方があるということです。

 そして密接な関係を持つ相手ほど、比較対象として強く意識してしまいます。言い換えれば、相手が自分に似ているほど、比較本能はフルで稼働するということです。

 弟に負けたデイヴィッドが表舞台から去ったのは、たくさんの共通点を有する兄弟と争ったからこそ。兄は弟によって耐えられないほどの敗北感を感じたのです。



比較を前向きな力に変えるには?

 反面、近しい存在が意欲を高めてくれることもあります。テニスのウイリアムズ姉妹の関係です。姉のビーナス・ウィリアムズと妹のセリーナ・ウィリアムズは、比較を前向きな力に変えた象徴的存在です。

 シングルスではライバルとして熾烈に戦いながら、二人で力を合わせてダブルスでは圧倒的な結果を残す。

 彼女たちが数々のグランドスラムタイトルを獲得してきたことを、ご存知の方も多いでしょう。つまり「競争」と「協調」の間を生き抜いてきたのです。

 一体、ミリバンド兄弟とビーナス姉妹との違いは何なのでしょうか?  

 その答えは比較を前向きな力に変えられたかどうか。著者アダム・ガリンスキー氏とモーリス・シュヴァイツァー氏は、そのためのポイントとして以下のことを挙げています。

  1. その比較が適切かを見きわめること。
  2. 新たな挑戦に目を向けること。負けた悔しさを受け入れモチベーションに変えること。
  3. 自分の成功が他人を嫌な気分にさせると理解すること。
  4. 自分に満足したいときは、自分より弱い立場の相手に目を向け、自分を鼓舞したいときには自分より強い立場の相手に目を向けること。

 これらは私たちの人間関係を円滑にするうえで、押さえておいたほうがよい知識と言えます。

 今日の敵は、明日の味方――。

 この魔法の言葉こそが、日常の対人関係を豊かにしてくれるスパイスとなります。

 本書には他にもたくさんのアドバイスが収録されています。『競争と協調のレッスン』を読んで、悩ましい人間関係を大きく変容させてください。

(Written by Publisher’s editor)




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