自分のブログを運営しつつ、Webライターとして活動もしているシロハヤ(@shirohaya10)です。
ブログを書いている頃は文章術についての本を読むことはなかったのですが、Webライターとしてお仕事をさせてもらうようになってから読む機会が増えてきました。
Webライターとしてはまだまだ勉強中で、
- どうしたら読みやすい文章になるのか
- どうしたらスラスラと文章を書けるようになるのか
と悩んでいる中、手に取った本が『読みたいことを、書けばいい。人生が変わるシンプルな文章術』です。
先に言っておくと、この本は「文章テクニック」というよりは、「文章に対する意識」を変えてくれる本となっています。
本書を読んだ率直な感想は、「文章を書くのが好きになった」ということ。
- ブログやWebライターなど文章を日常的に書いている人
- 何を書いたらいいのかわからず、迷ってしまう人
- 書くことを楽しめていない人
など、少しでも文章に関わっている方には特におすすめです。「書くこと」について役立つ情報を知りたい方は、ぜひこの先を読み進めてください。
6つのシンプルな文章術
本書を読んで、僕が思わず「なるほど…」と声を発してしまった文章術を6つ紹介します。これらを知るだけでも、今後文章を執筆する際に大いに役立つはずです。
①定義をはっきりさせよう。
これは、自分の文章で使う言葉の「定義」をしっかりと再構築しようということです。自分自身がその言葉の実体を理解していなければ、他人に意味を伝達することは不可能だからです。
たとえば、普段から使う機会の多い「趣味」という言葉の定義を聞かれたら、ほとんどの人は「仕事としてでなく、楽しみとして愛好すること」「空いている時間にすること」のような辞書的な意味を答えるでしょう。
これはこれで間違いではありませんが、田中さんは、「趣味」という言葉を「手段が目的にすりかわったこと」だと再定義しています。これは、たとえば「郵便を届ける」「魚を釣る」といった目的を果たす手段として「切手」「釣竿」があるのに、それらを必要以上に購入し、収集する愛好家にとっては、手段が目的にすりかわっていると言えるからです。
ライターとして言葉を扱って生活しようとするなら、辞書的な意味だけではなく、このように言葉の正体を深く考え、定義を再構築することが重要だと説いています。
Webライターをやっていると、自分が詳しくないジャンルの執筆依頼がくることがあります。そのとき、専門用語を曖昧な理解のまま使っているようでは、二流どころか三流以下でしょう。
自分が扱う言葉一つ一つの定義を理解していてこそ、わかりやすく、説得力のある文章が書けるようになるのです。
田中さんは、「その単語に自分がはっきりと感じる重みや実体があるか。わけもわからないまま誰かが使った単語を流用していないか」を考えることを勧めています。
②文章は「調べる」ことで99%決まる。
この項を読んで、これまでの自分のリサーチの甘さにハッとさせられました。
- 物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛。
- 調べたことを並べれば、読む人が主役になれる。
ライターの考えは1%あれば十分で、あとは調べたことを伝えるだけでいい、とにかく調べることが大事だというのが、田中さんの考えです。
調べることが大事なのはわかっていたつもりでしたが、甘く見ていました。自分が調べた情報に自信がない場合、それは文章にも現れてしまいます。すると何を伝えたいのか分からないふわふわとした文章になり、結果として誰も読んでくれずに終わってしまいます。
「調べる」といっても、ググったり、Wikiったり、新書やムック本を購入して読んだりするだけでは足りません。これらの情報は、ほとんどが「また聞きのまた聞き」が文字になっているものに過ぎないからです。
そのため田中さんは、一次資料に当たることの重要性を説いています。一次資料とは、「ここがその話の出所で、行き止まりである」という資料です。そしてそれを調べる方法として「図書館を利用する」ことが勧められています。
図書館にはたくさんの一次資料が保管されています。しかも無料。使わない手はありません。
また裏技的なテクニックとして、「司書」さんに、「どんな目的で、どんな資料を探しているか」を伝え、目的に適う本をピックアップしてもらう、という方法も紹介されています。
たぶん本書やこの記事を読む人が増えると、司書さんは知らず知らずのうちに忙しくなっていくでしょう。ごめんなさい。
③ターゲットは想定しなくていい。
「文章を書くときは、誰に向けて書くか(=ターゲット)を決めることが大事である」とよく言われます。
しかし田中さんは、「ターゲットなど想定しなくていい」と言い切ります。なぜなら、そもそも特定のだれかに言いたいことが「届く」ことなど、ほとんどないからです。
広告業界の「コピーライティング」の仕事では、「30代女性にこの洋服の良さを伝える文章を書け」「中学生がこのスナック菓子に興味を持つ言葉を考えろ」のようなターゲット論の話がなされます。
しかしこれらも結局、テレビや新聞など不特定多数が目にするところに「置かれる」ものであり、「届けられる」ものではないと田中さんは言います。
ターゲットに向けて文章を書いたとしても、ターゲットに「届く」ことはない。そして自分が書いた文章を最初に読むのは、間違いなく自分であり、自分で読んでおもしろくない文章は(他人も読んでくれないため)そもそも書く意味がない。
だからこそターゲットなど想定せず、自分が面白い、読みたいと思える文章を書けばいいと言えるのです。
これはまさにその通りだと思います。過去の自分を助けるような有益な情報について、自分が読みやすい、面白いと思える文章で書いて行こうと思いました。
④誰かが書いているなら書かなくていい。
ある内容について書こうと思って調べてみたら、すでに別の人に書かれていた…。こうしたケースはよくありますよね。
その場合は、無理に書こうとしないで、読み手でいればいいと田中さんは言います。どこかで読んだ内容を苦労して文章にしてもだれも読まないし、自分も楽しくないからです。
ただし、すでに書かれている文章よりも面白く、1つでも違った視点を持って、「まだだれも読んでいない文章」を書けると思うのなら書くべきです。
⑤他人の評価を気にして書かない。
ネット上で文章を書いていると、評価される機会が増えていきます。
Webライターは、納品した記事についてまず依頼主から評価されますし、ネットに公開されれば、読者からも評価されます。
でも、「クライアントに褒められよう」「読者に褒められよう」という思いで文章を書くようになると、だんだん自分が面白くなくなってしまいます。
田中さんは、「評価の奴隷になった時点で、書くことがいやになってしまう」と述べています。それは他人の人生を生きることと同じだからです。
評価は他人が決めるものであり、他人がどう思うかは、自分が決められることではありません。だからこそ他人の評価を気にするのではなく、「自分が面白い、読みたい」と思える文章を書くべきなのです。
⑥何を書いたかよりも誰が書いたか。
最後は、「結局は何を書くかよりも誰が書くかが重要」というお話です。
文章を書く際、
- 言葉一つ一つの定義を理解して、
- 一次資料から調べ、
- 読みやすいように工夫し、
- 自分が最高に面白いと思う文章を1万文字ほど書いたとしても、
アイドルが書いた「大切な家族ができました」という話の方が圧倒的に読まれてしまう。中身は犬の写真と数百文字しかないのに…。
この事実は受け入れるしかありません。多くの人にとって、「何が書いてあるか」よりも「誰が書いたか」の方が重要だからです。
書き手の立場である僕でも、アイドルの方を見ます。アイドルは可愛いし、「大切な家族」と言われたら、彼氏かと思って嫉妬と好奇心でいっぱいになり、読んでみたくなるからです。
とはいえ、自分の記事が読まれなかったからといって落ち込む必要はありません。田中さんは、「ターゲット層にバズりたい」「たくさん読まれたい」「ライターとして有名になりたい」という思い違いを捨て、まず書いた文章を自分がおもしろいと思えれば幸せだと気づくべきだと言います。
それを徹底することで、逆に読まれるチャンスが生まれるのです。
自分以外にも読んで楽しんでくれる人が増えていけば、いずれ「誰が書いたか」の「誰が」に自分が当てはまる日がくるかもしれません。
文章を書く仕事をしている人、これから書いていきたいと思っている人は、ぜひ読んでみてください。