GO代表・三浦崇宏か教える「言語化」4つのプロセスとは?

GO代表・三浦崇宏か教える「言語化」4つのプロセスとは?




 こんにちは、HIKARUです。

 あなたは「頭の中では考えがまとまっているけどうまく言葉にできない!」「会議中に意見を求められたけど言葉が出てこなかった!」という経験をしたことはありませんか?

 私も上司との会話やメールの後、「こう言えば伝わりやすかったかもしれない…」「こう書けば無駄なく伝達できたのに…」などと反省することが多いです。

 言葉に関する悩みはいつになっても尽きないものですが、これらの悩みを解決してくれるのが今回ご紹介する『言語化力 言葉にできれば人生は変わる』です。

言語化力 言葉にできれば人生は変わる

 著者の三浦崇宏氏は、「あらゆる社会の変化と挑戦にコミットすること」をミッションとする株式会社GOの代表兼クリエイティブディレクター。博報堂を経て2017年に独立し、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェステイバルで金賞、ACC総務大臣賞などを受賞した今注目のクリエイターでもあります。

 インターネットとスマホが普及した今、誰もが自分の意見を社会に発信できる時代になりました。言い換えれば誰でも、共感や熱狂を呼ぶような情報を圧倒的スピードで伝えることができるようになったわけです。三浦氏はその際の重要なツールこそが「言葉」だといいます。

 本書から、あなたの思考を言語化するためのポイントについてご紹介します。

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思考を「言語化」する4つのプロセス

 三浦氏は、思考を言語化するための段取りとして、次のプロセスを挙げています。

  • 0:スタンスを決める
  • 1:本質をつかむ
  • 2:感情を見つめる
  • 3:言葉を整える

0:スタンスを決める

 「スタンスを決める」とは「自分の社会における立ち位置と、世の中の動きに対する好き嫌いを明確にしておく」ということです。

 たとえば「自分は新技術を社会に導入することに慎重だ」というスタンスを決めておけば、「自動車の無人運転についてどう思うか?」「ゲノム編集された食品についてどう思うか?」などの質問に対して、自分の意見や考えがスムーズに生まれます。

 その意見や考えが正しいかどうかは別として、明確なスタンスを持つことで周囲の理解を得られること、意思決定に時間がかからなくなることが重要なのです。

 ぼくたちができる精一杯のことはたった1つ、目の前に現れる無限の思考の分岐点で自分のスタンスを貫き続けることだ。(p.68)

1:本質をつかむ

 次に行うのは、その問題や議論の「本質をつかむ」こと、つまり「抽象化」の作業です。その問題で議論されていることは一体なんなのか、表面的に現れている現象を追いかけるのではなく、現象が起きてしまっている構造をつかむことが大切です。

 本質をつかむ方法として紹介されているのが、次の3つの手順です。

  • 固有名詞を省いて、
  • 時系列も無視して、
  • 行為と現象と関係性だけを抜き出す

 本書ではこの抽象化のプロセスについて、「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」という映画のストーリーを例に解説しています。固有名詞を省き、時系列も無視して、行為と現象と関係性だけを抜き出して、三浦氏が本作のストーリーを抽象化したものが次の通りです。

 主人公は、大切な人生の規範になるべき存在を失って孤独である。彼は嘘を操る敵と戦い、打ち破る。その過程で、それまでの人生の規範であったヒーローとは違う、自分が目指すべきヒーロー像を発見する。それはこれまでの自己犠牲によって世界を救うヒーローではなく、自分の人生の楽しみと、世界を救うことを両立しようとする道だ。(p.72)

(※本書では、抽象化された要素についてカッコ書きで具体的な言葉を補足していますが、ここでは抽象化した後の文章をクリアにするために、あえて省略しました)

 このように属人性や詳細、時系列、個人の感情を排除すると、抽象化しやすくなるのがわかると思います。

 「スパイダーマンが活躍する話!」のような大雑把な説明や、「スパイダーマンが高校生の頃の話で、跳躍しているピーターが楽しそうだった」といった感想、あるいは「話の内容を逐次伝えようとして、時系列に沿って起こったことをダラダラと伝えるようなまとめ方」をするのではなく、まずは構造だけを抜き出すことで、物事の本質をつかむことができます。

 三浦氏は、会社組織や仕事上の問題、家族や恋人との意見の食い違いなども、こんな感じで抽象化すると、話がわかりやすくなると勧めています。

2:感情を見つめる

 次のステップ「感情を見つめる」では、前段階とは逆に、思いっきり主観を見つめ直す作業をします。

 人の心を動かすためには、自分の感情を踏まえた言葉を生み出さなければなりません。自分の意志・感情・意見がない言葉をどれだけ紡いだところで何の意味もない、人はそんな言葉に心を動かされることはない、と三浦氏は断じます。

 そのため問題の本質をつかんだら、それを自分のスタンスと照らし合わせ、「その問題に対して自分はどんな感情を持ったのか」「なぜそのような感情を抱いたのか」と繰り返し問うことが大切です。

 自分の感情を見つめ直し、その感情を他人に説明できるようになるまで考え抜くことで、言葉や思考にオリジナリティが生まれてくるのです。

 どんな現象でも、構造化してしまえばオリジナリティなんて大してない。現象について説明する限りは、誰が話しても同じことだ。だからこそ、あなたのスタンスから生まれたあなたの感情を説明できるようになったとき、初めてあなたはあなた固有の言葉、オリジナリティを手に入れたことになるんだ。(p.78)

3:言葉を整える

 最後は「言葉を整える」作業です。言葉を整えるとは、「どんな関係性の相手に伝える言葉なのか?」「相手にどんな印象を残したいか?」などを考慮しつつ、相手やその場の雰囲気に合わせて調整することをいいます。

 たとえば、

  • 「相手のせい」→「相手にも責任がある」
  • 「もう1つしかない」→「最後の1つになった」
  • 「電車が事故で遅れた」→「事故で遅れる電車に乗ってしまった

のように、相手に残したい印象によって別の視点から言い換えたり、言葉の順番を入れ替えたりします。これによって同じ内容でも、まったく違う印象を相手に与えることができます。

 ただし、重要なのはあくまでも「伝える内容」であり、このステップは「仕上げ」に過ぎないので、あまり気にしなくてもよいとも書かれています。

 本書では、以上4つのプロセスの実践例として、先ほどの「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」をもとに、さらに具体的な解説がなされているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。



「言葉の因数分解」で自分を見つめ直す

 言葉を見つめ直すことは、自分を見つめ直すことでもあります。

 たとえば「仕事がうまくいかない」という言葉や、映画や本に対する「よかったです」という感想。これらの言葉は、「どんな仕事が、どのようにうまくいかないのか」「(その映画や本の)何がよかったのか」がわからないため、周囲に自分の考えや気持ちが正しく伝わらない可能性があります。

 どうすれば、相手に伝わる言葉にできるのでしょうか。三浦氏は、うまく言語化できる人は、頭の中で「言葉の因数分解」をしているといいます。

 「仕事がうまくいかない」であれば、まず「仕事」とは何を指しているのかを細分化して考えていきます。接客? 会議? それとも職場の人間関係?「仕事」という単語1つにも、さまざまな意味が含まれています。また「うまくいかない」という言葉にも「モチベーションが湧かない」「失敗が続いている」「評価されていない」など無数の要素があります。

 「仕事がうまくいかない」に含まれている言葉を一つ一つ具体的にしていくことで、その状況や自分の内面を正確に表現できるようになります。

 「仕事とは何か?」「何ができず、どのようにうまくいっていないのか?」「なぜそれができないのか?」のように質問を繰り返し、自分の悩みや思考を丁寧に言語化していくことは、自分を見つめ直すことでもあるのです。

 思考の過程で、「仕事がうまくいかない」とか「よかったです」みたいな大雑把で便利な言葉を見つけてしまうと、そこで思考を止めてしまう。間違っていないからだ。だが、正確ではない。思考は正確な言葉で表現しないと、本当はもっと深い思考にたどり着く可能性があっても、途中でその行き先を見失ってしまうのだ。(p.98)

最後に

 この本を読んだことで、言葉の重要性を再認識することができました。これからはより慎重に言葉を扱っていきたいと思います。

 本書には、ここで紹介した以外にも「印象に残る言葉、一生残る言葉をつくる方法」や「言葉で人を動かす方法」「言葉で未来を指し示す方法」など、様々な方法論が記されています。気になる方はぜひ本書を読んでみてください!

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HIKARU
ロック大好き大学生。『美女読書スキルアップサロン』『箕輪編集室』に参加しています。
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