こんにちは、WEBマーケッターのいとうじゅんぺいです。
インターネットが普及している現代では、プライベートでも仕事でも、人との関わり方がどんどん変わってきているなぁと感じています。
平野敦士カールさん著の『世界のトップスクールだけで教えられている 最強の人脈術』では、そんなインターネットやSNS全盛の現代におけるビジネス人脈の築き方について、科学的な視点から論じた一冊です。
有効な人脈ネットワークを築くための方法として、「ネットワーク理論」や「プラットフォーム戦略®」など世界のトップスクールで教えられている理論を活用した考え方が数多く紹介されています。
「人生100年時代」といわれる今、人脈こそが「最強の資産」であると説く平野さん。本書の理論をもとに人脈を構築すれば、ビジネスが自動的に拡大して理想の人生が手に入るとも述べています。
本書の中から、ビジネス人脈を構築するために押さえておくべき重要な理論と、それらを実際にどのように活かせばよいのかについてご紹介します。
「弱いつながり」が重要である理由
ビジネスで有効な人脈を築くためには、まず「ネットワーク理論」について理解することが重要です。
なぜならあらゆる仕事の「情報」は、人脈ネットワークからもたらされるからです。人脈ネットワークは、一度構築してしまえば勝手に情報が流入し、そのままビジネスにつながっていく「資産」となります。
「ネットワーク理論」とは、人と人とのつながりを研究する学問です。なかでも重要なのが、1973年のアメリカの社会学者であるマーク・S・グラノヴェッターによって発表された「弱い紐帯の強さ(”The strength of weak ties”)」という論文。
この論文のによると、「弱い人脈ネットワーク」、つまり「いつもはそれほど密接に繋がっていない知人」から情報を得て転職に成功した人の方が、身近な信頼できる友人や家族に相談して転職した人達よりも満足度が高いことがわかっています。
なぜそうなるかというと、家族や親友のような「強い人脈ネットワーク」内の情報は既知のものが多いのに対し、多少知っているような人や、友だちの友だちのような「弱い人脈ネットワーク(弱い紐帯)」から得られる情報は、未知かつ重要なものが多いからです。
またアメリカのある大手情報機器メーカーの管理職284人を対象に行った調査によると、「パーソナルネットワークに遠方の人を数多く含んでいる管理職」や「異なるタイプの人々との関係を重視する管理職」ほど昇進が速い、という結果も得られています。
ここでいう遠方とは、「距離が物理的に離れている」という意味ではなく、「社会的な距離が遠い」という意味です。
つまり同じ会社のなかでも、違う部署の人、違う世代・年代・人種の人、あるいは社外の人など、普通に過ごしていただけではあまり縁がない人たちとつながっている人物のほうが出世しているということです。転職や社内での出世を目指す人は、身近ではない所で人間関係を築いたほうがよいことになりますね。
普通に考えると「強いネットワーク」、つまり気の合う仲間と一緒にいる方が楽なので、あえて遠方の人と関わりたくないと思う人もいるでしょう。
しかし「弱い紐帯によって伝達される情報は価値が高い」と証明されている以上、日常的にあまり親しくないような人たちとの関係も大切にするべきなのです。
もしあなたが、今まで会社の「強い紐帯」の中で過ごして来たのであれば、まずは他部署や他社で普段はあまり話さないタイプの人と交流してみてはいかがでしょうか。
「プラットフォーム」に必要な3つの資質
もう一つ、人脈ネットワークを築く上で押さえておくべきなのが「プラットフォーム戦略®」です。
「プラットフォーム戦略®」とは、すべての関係企業を「場=プラットフォーム」に載せて新しい事業のエコシステムを構築する経営戦略のことです。Facebook、Amazon、Google、Appleなどのサービスを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
これらの企業は、人と人とをつなぎ合わせる場を作り、そこに参加する人や企業グループすべてに価値を与えることで収益を得ています。
人脈ネットワークを構築するためには、個人でも「プラットフォーム戦略®」の視点を持って、多くの人を媒介する「ハブ」のポジションをとるべきだといいます。
なぜならプラットフォームを構築すれば、プラットフォーマ自身が多くの利益を得ることができるからです。
たとえば、あなたが合コンの幹事を担当する場面を思い浮かべてみてください。合コンの幹事とは、出会いの「場=プラットフォーム」によってマッチングすることで、双方のグループに付加価値を与えています。
合コンの幹事は、時間や場所はもちろん、誰を誘うかも自由に決められますし、参加者全員の連絡先という情報も入手できます。どの人とどの人が相性がよいのか、誰が誰を気に入っているのか、という情報すらも得ることができます。
こうした情報があれば、参加した人に満足してもらいやすいですし、参加者が満足してくれれば、よい評判がその人のネットワークを通じて急速かつ自動的に拡散していきます。
逆に、自分が得することばかりを狙っていては、その人が開く合コンにはいつしか人が集まらなくなってしまいます。参加者がどうしたら喜んだり、満足したりしてくれるかを考えることが大切です。
かかわっているすべての人にメリットを与え続けることが、プラットフォーム成功のカギとなるのです。
本書では、成功するプラットフォームの3条件として、次の3つを挙げています。
- フリクションをなくす存在になっているか。
- 「場」の自動増殖機能が活発か。
- クオリティコントロールがなされているか。
これらは企業だけでなく、個人が「マイプラットフォーム」を作る際にも重要な考え方だといいます。
① フリクションをなくす存在になっているか
「フリクション」は摩擦あるいは障壁という意味で、人の行動を阻害する要因のことを言います。
社会に存在するさまざまな「フリクション(摩擦・障壁)」をなくすことによって、その参加者に新しい価値を提供するのがプラットフォームの役割です。
個人としてプラットフォームをつくるのならば、そのプラットフォームの経営理念は何か? 社会に存在することでどのようなフリクションを解決しようとするのか? を明確にすることが大切だといいます。
ビジョンやミッションへの共感を呼ぶことができれば、顧客はその夢を実現しようとする仲間になってくれるからです。
②「場」の自動増殖機能が活発になる仕掛けを作れているか
プラットフォームを拡大するには、いかにして「交流」を活発にし、参加者が自動的に増えていく仕組みを取り入れるかが重要です。これは「自動増殖機能」を備えるということです。
「そのプラットフォームに行けば、自らのニーズが満たされる」と参加者が認識すれば、その参加者はそれを周りの人に伝えてくれます。そこで交流が発生することによって、プラットフォームの価値は上がっていきます。
重要なのは自ら宣伝を行うのではなく、参加してくれている人がどんどん他の参加者を招いてくれる仕組みの構築です。
たとえば他人の投稿を見るだけでなく、自分も投稿することができる仕組みや、誰もが簡単に投稿できる仕組み、参加者同士が意図した相手と出会うことができるような仕組みを実装して、「交流」を活発にすることが大切です。
③ クオリティーコントロールがなされているか
プラットフォーマーはプラットフォームの弱体化につながらないように、質をチェックする仕組みを設けなければなりません。
せっかくプラットフォームが大きく成長しても、コンテンツの質が低下したり、ユーザー同士のトラブルが多発したりしては本末転倒です。
たとえば、自分が主催した勉強会の参加者から高額商材を売り込まれたという苦情が何件か出てくると、それを聞いた他の参加者は次に参加しようとは思わないでしょう。
一度悪い評判がついてしまうと返上するのは極めて難しくなってしまうので、日頃から細心の注意を払い、クオリティコントロールに心血を注がないといけません。
マイプラットフォームを作ろう
「ネットワーク理論」と「プラットフォーム戦略®」を理解したら、これらを駆使して「マイプラットフォーム」を構築し、ビジネスが自動的に拡大する仕組みを目指します。
マイプラットフォーム構築にあたっては、「オンライン」と「オフライン」の両方を制覇しましょう。
オンラインについての具体的な説明は本書を読んでいただくとして、簡単に言うと、ネット広告などの「ペイドメディア」、会社のHPやブログなどの「オウンドメディア」、TwitterやFacebookのような「アーンドメディア」のトリプルメディアを活用して、読者の共感や信頼を得ながら成長していきます。
「オフライン」では、「ランチ会」を活用して、異なる組織のAさんとBさんを仲介する「ブリッジ」の役割を担います。
ランチ会が有効なのは、自分に何の取り柄がなくても、その人に有益なアドバイスができなくても、人を紹介するだけで感謝され、自分の価値を高められるからです。
ランチは、一緒に仕事をしてみたい人と自分との「波長」を確かめられる場であり、自らがこのブリッジになるための最も手っ取り早い方法です。
著者は「ランチは、ブリッジになるための最強の方法論」とまで言っています。
さらに進んで、多くの人を一つの「場」に集める主催者になれば、あなたは「ブリッジ」から「ハブ」、又の名を「プラットフォーマー」へと進化していくことができます。
そうして人脈が広がっていけば、うまくいけば仕事をもらえるかもしれませんし、業務提携に至る可能性だってあります。そうなれば、あなたは参加していたメンバーから感謝されるでしょう。
SNS全盛のいまだからこそ、インターネットだけでなく、リアルなフェイス・トゥ・フェイスの交流も含めることで、より高い効果を上げることができるのです。
まとめ
「ネットワーク理論」と「プラットフォーム戦略®」をしっかりと理解して活用すれば、資産となる人脈ネットワークを築くことができそうですね。
ぜひ本書からその方法を学び、「最強の人脈」作りに役立ててください!