私は文章を読むのは好きなのですが、書くのが苦手な大学生です。
毎月何冊も本を読んでいるのですが、すぐに内容を忘れてしまい自分の身にしきれてないということに気がつきました。
そこでアウトプットの機会としてブログを書こうと決意しました。
ただ、今までブログとは無縁だったために「どうやって書けばいいのだろうか?」「文章の構成の作り方は?」などと疑問が浮かび、こちらの本を手にとってみました。
筆者の古賀史健さんは、ベストセラーにもなった『嫌われる勇気』で有名な方です。
では本書の中から、私が特に納得したことを3つご紹介します。
①文章のカメラワークを意識する
古賀さんは、文章のおもしろさは構成で決まると言います。一体、どういうことでしょうか?
ベタな恋愛映画を例に説明しています。
まず、映画の導入部分では、なんの事前情報も持たない観客に対して、制作者は「ここは大学ですよ」「季節は春ですよ」などの状況説明をしますよね。つまり「これからなにが始まるのか」を観客がわかるように伝えているのです。ここから導入とは、「客観のカメラ」(遠景)を用いることだといえます。
次にカメラは、主人公の男の子をとらえ、女の子をとらえます。女の子との出会いであったり、会話の緊張など、極めて近い距離でのショットが続きます。本編は「主観のカメラ」(近景)を表しているのです。
そして、最後はエンディング。ここでカメラはもう一度遠くから2人をとらえます。たとえば夕日の沈む水平線を背景に、2人の人影を描き出すといったように。本編とは一転して主人公たちから距離を置くことで、ナレーションやテロップなどの「客観的な解説」を入れやすくなります。つまりエンディングも「客観のカメラ」(遠景)ということです。
整理すると、「客観→「主観」→「客観」という順番で構成されているわけです。
この話を文章に置き換えてみると以下のようになります。
1.序論
ここは、客観的な状況説明です。これから本編でなにを語るのか、なぜそれを論じる必要があるのかなど、客観的な立場から明らかにします。カメラはずっと高い地点から俯瞰で対象をとらえています。
2.本論
ここで語られるのは、「序論」に対する自分の意見であり、仮説です。カメラは対象にグッと近寄り、かぎりなく主観に近いポジションから対象を描いていきます。
自説を補強・検証するために図やグラフのような客観的な視点を差し挟むことはあっても、離れすぎることはなく、基本的には主観に寄った描き方をする必要があります。
本論で「ロングショット(=客観のカメラ)」が使われ過ぎると、何が起きているのか理解しづらくなってしまうからです。
3.結論
ここでは、再び客観的な視点に立って論をまとめていきます。展開してきた自らの意見に、客観性を持ち込むことで「客観的な風景の一部=動かしがたい事実」として描くわけです。
客観→主観→客観という文章構成を心掛けることで、読み手ははるかに読みやすくなるのです。
②起承転結をひっくり返せ!
ふつう、文章は「起承転結」で書かれる場合が多いですよね。しかし古賀さんはこれをひっくり返せと言います。「起転承結」の順番で書けというのです。
具体的に説明すると次のようになります。
- 起…いま全世界的に温室効果ガスの削減問題が議論されている。
- 転…しかし、地球温暖化現象は本当に温室効果ガスによるものなのか?
- 承…(その疑問を抱いた理由、客観的事実など)
- 結…よって、温室効果ガス削減の議論はかなり根拠に乏しいものと考えられる。
まず、冒頭で(温室効果ガスの削減問題)という一般論を述べています。そこに「転」としての疑問を投げかけ、常識(起)に対して、あえて疑いの目(転)を向けます。ここでの(転)は仮説であり、あなたの「主張」となります。
まとめると、
- 起…いま全世界的に温室効果ガスの削減問題が議論されている → 主張と真逆の一般論
- 転…しかし、地球温暖化現象は本当に温室効果ガスによるものなのか? → 主張(仮説)
- 承…(その疑問を抱いた理由、客観的事実など) → 理由と事実
- 結…よって、温室効果ガス削減の議論はかなり根拠に乏しいものと考えられる → 結論(まとめ)
だと考えられます。
自らの主張(主観)の前に主張と真逆の一般論(客観)を用いることで、読み手を引き込むことができるのです。
③読者に代わって自分にツッコミを
ここで古賀さんは、「読ませる文章から対話する文章へ」と言います。
どういうことでしょうか?
学校の授業、または、何時間も続く講演会などで壇上の上から一方的に喋っているのを聞くと眠くなりますよね?
私なら絶対眠くなります(笑)
対して、質疑応答の時間になると不思議と眠気は吹き飛びます。自分が質問するときはもちろん、他の人の質問も聴き逃すまいとする。それに対して「先生」がどんな答えを返すのかと、かなり前のめりになって耳を傾けます。受動的な「講義」が、能動的な「対話」になるからおもしろいのです。
この話は文章にも当てはまると言います。だらだらと自説を述べるだけの文章は、誰にとっても読み進めるのがツラく、眠くなります。ですので、読者も参加できるような配慮が必要となるのです。
具体的にはどのようなことをすればいいでしょうか?
古賀さんは、自分の文章を読み返して、「読者の目線でツッコミを入れる」こと、また「それに対してきちんと答えを用意すること」を勧めています。ここでのツッコミは、多くの場合が「反論」であり、それに対する答えは書き手からの「再反論」です。
具体的に見ていきましょう。
- 【主張】…高校では日本史を必修科目とすべきである。
- 【反論】…おそらく「国際化に対応するには世界史だ」との意見もあるだろう。
- 【再反論】…しかし、国際社会で自国の歴史や文化を語れないことのほうが問題だ。
- 【結論】…今後ますます国際化が進むからこそ、日本史の教育が大切なのだ。
ここでは、②【反論】の部分がツッコミになりますね。文中にツッコミと③【再反論】を加えることで、自らの主張が強化されています。
ここで大切なのは「読者が感じているであろうツッコミ」を敏感に察知し、挿入する力だと言います。つまり読者が「そう、まさにそれを聞きたかったんだよ!」と同意してくれるような反論を自分にぶつけ、そこに答えていく力です。
読者が気になりそうな部分を察知し、文章内で「反論」をする。そんな読者目線が重要だといえます。
本書では、上記で述べた以外にも数多くのノウハウが紹介されていました。
資料作成、企画書、レポート、小論文、ブログなど、仕事やプライベートを問わず、文章力が必要とされており、インターネットを使えば、誰でも「書き手」になれるのが現代です。だからこそ私たちは「書く力」を求められています。
本書は100ページ程度の構成になっており、気軽に読めますので、ぜひ読んでみてください。