こんにちは。ノイエです。今回は『ビリギャル』の原作者として有名な坪田信貴さんの『才能の正体』という本を読んでみました。
実はわたし、子どもの頃から「才能のある人」に憧れていたんです。最近では「もっと論理的で美しい文章を書く才能があればなぁ」と思うことが多々あります。
ずっと「自分には才能がない」という前提で生きてきたのですが、この本の帯には「才能の“芽”は、必ずあなたの中にある」と書かれています。そして本書には「劇的能力向上」のメソッドが記されているとも。
この本を読めば、自分の能力を伸ばすためのヒントを得られるかもしれない…そんな希望を抱いて、本書を手に取りました。
この記事では、第2章「能力」を「才能へ」から、「才能の伸ばし方」について具体的な方法を紹介したいと思います。
「守破離」が大事なキーワード
「才能」、つまり「生まれつきの能力」というのは、誰もが持っているものだと坪田さんは断言します。Aさんにはあって、Bさんにはない、というものではなく、みんながみんな持っているものなのです。
しかしながら「あの人には才能がある」といった言い方をするとき、「他の人にはないような能力を持っている」というニュアンスになりますよね。わたしも当然のように、すごい人だけが持っているもので、自分にはないと考えていました。
しかし坪田さんは「能力値の高い人は、単純にそれを効果的に磨いてきただけの話」だといいます。つまり「誰もが生まれつき持っている能力」をうまく磨いた人が、「才能がある人」と呼ばれている、ということです。
では、「本来は誰もが持っている能力」を、どのように伸ばせば「『才能がある』と言われるべきもの=他の人にはないような突出した能力」になっていくでしょうか?
そのために押さえておきたいキーワードが「守破離」です。守破離とは、剣道や茶道などの修行における個人のスキルの段階を示したもの。『デジタル大辞泉』では、以下のように説明されています。
- 「守」…師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身に付ける段階。
- 「破」…他の師や流派についても学び、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。
- 「離」…一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。
坪田さんは、まずは「師となる人」の教えを守って、徹底的に真似をすることから始めることを勧めています。成果を残している人ほど、一番初めは誰かの真似を徹底的にしているものだからです。
ポイントは、頭のいい人やすごくできる人の「言葉」は聞くべきではないということです。なぜなら「すごくできる人」は、自分がどうしてそれができているのかをよくわかっておらず、上達するための説明ができないからです。
頭のいい人にアドバイスを求めて、「こういうふうにやったらいいよ」と言葉で教えてもらっても、いざ実行に移してみるとその通りにできない、ということってよくありますよね。
普通の人にとって「すごいこと」でも、できる人にとっては「当たり前のこと」なので、自分がどうしてそれができているのかがよくわかっておらず、言葉で説明することができないのです。
ではどうすればいいのでしょうか。その方法が、頭のいい人の「行動」を完コピする、というものです。
頭のいい人の「行動」を完コピしろ
坪田さんは、その人の「考え方」や「言葉」ではなく、「行動」を完コピすることを勧めています。なぜなら人間が唯一、他人を完コピできるのが「行動」だからです。
思考はひとりひとり違っているため計測することができませんし、真似したとしも、できているかどうかの検証ができません。
「完コピできたかどうか」がわかるのは行動だけなのです。
たとえば、営業成績がいい人に「営業のやり方をお教えてください」「どうやったら営業成績が上がりますか?」と相談してみても、アドバイスをそのまま完コピすることは困難ですよね。それよりも、営業成績のいい人の「行動」を観察し、完コピする方が、成績上昇に直結するのだといいます。
一緒に営業先へ同行して、その人がどんなふうに挨拶しているか、どんな表情で相手に話しかけているのか、どんな言葉遣いで話しているのか、どんな順番で話をしているのか…といったことをしっかり観察するのです。
すると、その人がやっている行動、挙動、言葉、タイミング、反復性、過剰なところ、抜いているところなど、いろいろなことがわかってくるようになり、自分はちょっと姿勢が悪いかもしれない、とか「ありがとうございます」というタイミングがおかしいかもしれない、といったことがわかるようになっていくのです。
ちなみに、完コピのための一番近道で効果的な方法は、「頭のいい人、できる人の行動を、動画で撮影する」ことだそうです。
動画を見ながら、その人のどこに「うまくいくポイント」があるのかを見つけるのです。気づいたことを手帳などにメモをする方法では、そこに書く人の主観が入ってしまうため、自分が見たいところだけを見て、大事なことを取りこぼす可能性があります。
しかし動画であれば、普段「自分の意思では見ていない」ところまで映るので、後で映像を見ながら、分析をすることができるのです。
映像を丁寧に見て、「頭のいい人」「できる人」が何をどうやっているのかがわかったら、今度は、その行動を完コピする。それが理想であり、一番の成功の近道だと坪田さんはいいます。
オリジナリティは完コピの末に生まれる
「完コピしろ」と言われると、「真似をするよりも、オリジナリティを出さなくちゃ」「自分の個性で勝負しないと戦えない」と考える人がいるかもしれません。
しかし坪田さんはそれは間違っていると言い切ります。なぜなら、どんなに誰かの真似をしても、「あなたらしさ」は出てしまうものだからです。
そもそも、人間は一人ひとり違います。身長も声も骨格も、今までに受けてきた教育も人間性も、何もかも違います。つまりどんなに「完コピ」しようとしても、必ずズレは出てきてしまうのです。しかしそれが「あなたらしさ」に繋がります。
基礎がない上にただただ「オリジナリティ」を築いても、それは見かけだおしのオリジナリティ。そうならないために、まずは完コピで、「能力を磨くための基礎」を作ることが大切だというのが坪田さんの考えです。
完コピを徹底的にやると、必然的にオリジナリティが出てきて、それが個性になるということです。
まとめ
自分の能力を伸ばすためのヒントを得たいと思って手に取った本書。坪田さんの主張はどれも非常に理にかなっており、納得できるものがありました。
文章を上手に書けるようになるためにも、まずは「守破離」の「守」を徹底していきたいです。
また「行動を完コピせよ」という提案については、わたしは専業主婦なのに家事があまり得意ではないので、家事が得意でテキパキしているママ友の行動を今度動画で撮影させてもらおうかと思いました。
今回は、これら2つのトピックに絞って紹介させていただきましたが、本書は学校や仕事での成績を伸ばしたい人、子どもの学力をどう伸ばせばよいか悩んでいる人にとっても、多彩なヒントを与えてくれる一冊です。
興味のある方はぜひ手に取ってみてください。