フェイスブックが株価急落から復活できた3つの要因とは?

フェイスブックが株価急落から復活できた3つの要因とは?




 自由な時間とお金を引き寄せるために、一日1冊以上の読書を習慣にしている桶下眞理です。

 フェイスブックが登場してから、私のライフスタイルはガラッと変わりました。今までは仕事でもプライベートでも、誰かと連絡を取りたいときは電話番号やメールアドレスを聞くのが普通でしたが、今やフェイスブックで繋がってしまえば、通話もメッセージのやりとりも、全て無料でできてしまいます。

 毎日の生活でフェイスブックを使わない日は考えられないくらい、私の生活にはなくてはならないものとなっています。

 人々の生活に一気に溶け込み、順風満帆に成長してきたように思えるフェイスブックですが、実は2012年に株価が大暴落し、どこかの会社に買収されるという噂まで流れたことがあるのをご存知でしょうか?

 フェイスブック社がこのときの窮状を脱し、V字復活を果たして、世界のトップ企業に名を連ねることができたのはなぜなのか。その理由を知ることができるのが本書『フェイスブック 不屈の未来戦略』です。



株価急落後、大復活を遂げた3つの要因

 フェイスブックは、「世界をよりオープンにし、つなげる」というミッションを掲げ、不可能を可能にするべく、見えない未来に挑戦し続けてきました。このミッションは、2017年に「bring theworld closer together(世界のつながりをより密にする)」に変更され、単に世界をつなげるだけではなく、そのつながりをより強めていくことを目指しています。

 そんなフェイスブックが、2012年に株価大急落した後にV字回復を果たし、現在も右肩上がりで成長を続けていられる理由として、本書を読んで私が感じた3つの要因について紹介します。

1.「破壊的創造」を恐れない

 1つ目は、フェイスブックがフェイスブック以上の存在になるために、ディスラプト、つまり「破壊的創造」を積極的に行っていることです。

 今どれだけ成功している企業でも、新たなイノベーションによるディスラプトを免れることはできません。そして、そのスピードは年々速くなっています。

 契機となったのは、写真特化型SNSサービス、インスタグラムの買収です。ザッカーバーグは、ローンチしてまだ14ヶ月で、月間ユーザー数は3000万人(当時のツイッターの10分の1、フェイスブックのおよそ100分の1)、従業員13人で、収益0ドルの企業に対して、10億ドル(約1150億円)もの金額を提示しました。

 この買収はユーザーの私たちはもちろん、世界の開発者たちの間でも話題となりましたが、当時の世間の評価は、「高い買い物」と捉える向きが多数でした。

 しかしザッカーバーグは、詳細なデータ分析によって、インスタグラムの未来予想図を描くことができていたため、競合他社がインスタグラムを買収したり、小さな競合が大きく育ってフェイスブックを窮地に追いやったりする前に、自らディスラプトする決断をしたのです。

 ザッカーバーグはフェイスブックのアプリだけが人々が何かをシェアする唯一絶対の方法ではないことを理解していた。人々が写真という形で大事なストーリーをシェアしたいと思うのはごく自然なことで、それをわかっていた。(P.205)

 インスタグラムの買収によって、フェイスブックは、自社のアプリだけでミッションを遂行するのではなく、企業買収によって遂行する施策の構想が出来上がったと言います。

 最終的にフェイスブックは、世界で最も利用されているソーシャルアプリの上位5つのうち4つを保有する企業となりました。

 自社の成功に甘んじることなく、素晴らしい企業やサービス、人材をどんどん巻き込み、自らディスラプトしているからこそ、長期的な成功を収めることができているのです。

2.ザッカーバーグが「永遠の学習者」

 2つ目は、マークザッカーバーグ自身が、成功にあぐらをかくことなく、学ぶことに貪欲であるということです。

 彼は誰よりもミッションの達成に熱意を向け、それを行動で示し続けています。

 幅広いジャンルの本を読み、世界を知るために古典を読むことも欠かしません。戦略を練るためにチェスも学んでいるそうです。

 また年齢に関係なく、業界のリーダーたちから学びを乞うこともしています。たとえばアンディ・グローブからは健全なパラノイア(偏執病)を、ジェフベゾスからは集中力を、ビル・ゲイツから長期で考える視点を学んだといいます。

 ザッカーバーグは永遠の学習者なのです。

 こんな風に、経営トップが学び続ける姿勢を見せ続けるからこそ、従業員にミッションを実現する未来予想図を見せることができ、モチベーションを高く引き出すことができるのでしょう。



3.世界を俯瞰する事業戦略

 3つ目は、世界全体の動きを俯瞰しながら、フェイスブックの長期計画の戦略を組んでいることです。

 次の10年でフェイスブックは、新たに数十億人の新規ユーザーと数十億ドルの収益の獲得を目指していると言います。

 フェイスブックが普及できていない地域は中国、日本、インドの3つ。中国ではフェイスブックのサービスはブロックされており、現地での競争も厳しい状況です。日本は、広告市場は大きいものの、競合他社に阻まれており、思うようにユーザー数を伸ばせていません。またインドは、人口のたった30%しかインターネットを利用しておらず、そもそもフェイスブックを利用するインフラが整っていません。

 こうした課題を乗り越え、成功を手にするためには相当の時間がかかります。しかしフェイスブックは、足元のビジネスが盤石なため、こうした長い挑戦にも取り組むことができるのです。

 極端な話、これらの取り組みがたとえ失敗したとしても、フェイスブックの中核事業における影響は限定的なのです。

 フェイスブックが、戦略の立案に用いる各プロジェクトの評価と重要性のフレームワークは次の通りです。

  1. 中核プロジェクト:フェイスブック社のミッションを推進するために必要な中核事業
  2. 隣接プロジェクト:(希望ではなく)明らかに事業を拡大することができる事業
  3. 重要度高:負けられない事業、あるいはこの分野での競合他社の攻勢が致命傷となりうる事業
  4. 重要度低:失敗したとしても、中核プロジェクトに深刻な影響を与えない事業

 フェイスブックにとっての「中核プロジェクト」とは、アメリカと西ヨーロッパの人々をつなぎ、その地域のオーディエンスと関連する広告収益を伸ばしていくことです。なぜなら、アメリカと西ヨーロッパは、世界の広告費のおよそ50%を占める市場で、ここを押さえることが、フェイスブックのミッションとビジネスの土台となるからです。

 中核プロジェクトを軌道に乗せ、隣接する「メッセージアプリ」の領域での展開を行ってから、ザッカーバーグはようやく中国、日本、インドでのフェイスブック事業に乗り出しました。

 ビジネスの根幹となる部分をしっかり固めているからこそ、不確実性が高く、成功までに長い時間がかかることが予想される事業にも、腰を据えて取り組むことができるのです。

フェイスブックの未来戦略

 創業からわずか10年ほどで世界のトップ企業にまで上り詰めたフェイスブックですが、まだ長い道のりの1%に過ぎないと言います。

 「世界をよりオープンにし、つなげる」、そしてその「つながりをより密にする」というブレないミッションがあるこそ、日々の地道な仕事をコツコツと続けることができるのでしょう。

 ミッションを持つことの大切さ、経営者の飽くなき学習意欲、そして人材雇用の大切さについて、世界トップ企業の成功ストーリーから学びたいという方に、ぜひ読んでほしい1冊です。






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桶下眞理
熊本県生まれ。
幼少期に10回以上引っ越しを経験後、神戸で育つ。

バブル崩壊後の就職氷河期に総合職を目指すも数々失敗。しぶしぶ保険営業職に就職。お客様のセクハラに耐えきれず、10ヶ月で辞める。その後も、パワハラやブラック企業、リストラ等で長く続かず、転職を繰り返す。就職を諦め、派遣女子となってクーラーなしの月10万円代極貧一人暮らしを経験する。

これまで経験した仕事は、その数20を超える。その頃から女性起業に憧れ、小さい勉強会へなけなしのお金を出して参加し続ける。たまたま、アルバイトで入ったシステム会社の倒産をきっかけに、「1年だけチャレンンジしてみよう!」と決断し、金なし、コネなし、人脈なしの状態で夢の一つであった通販店を立ち上げる。独立後も、必死にSNSやITの勉強会に参加し続け、無借金経営をし続けている他、多動力を生かし、9つのビジネスの柱を作る。

現在、自由な時間とお金を手にできる月30万女性スモールビジネスを支援している。

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