こんにちは、本貴典(ほんたかのり)です。熊本県でサラリーマンをしながら、読書ブログの運営をしています。
最近、テクノロジーの発展によって、機械に職が奪われるのではないかというニュースをよく目にするようになりました。
特別なスキルを持っているわけでもなく、幅広い人脈を持っているわけでもない、ごく普通のサラリーマンである僕は、テクノロジーによって世の中が便利になっていくことは嬉しい反面、不安な気持ちもあります。
今回、僕が読んだ『エクスポネンシャル思考』では、「エクスポネンシャル=指数関数的」に加速するテクノロジーの進化にいかに向き合うか、について書かれています。
指数関数的な成長というのは、直線的な成長と比べて、あるポイントから急上昇のカーブを描いて、その後さらに成長が加速しくというものです。
かつて、テクノロジーがタイピストという仕事を生み、のちに駆逐していったように、今の世の中でも、テクノロジーがユーチューバーという職業を生み出したかと思えば、すでにバーチャル・ユーチューバーによって駆逐されようとしているーーテクノロジーによって今までの考えられなかったことが常識となり、その常識すらすぐに破壊されてしまう、そんな激動の時代が始まっているのです。
人間は直線的な未来はある程度正確に見通すことができるものの、エクスポネンシャルに加速するスピードに対しては無頓着であり、その行先を往々にして見誤りがちだと著者は指摘します。
こうした時代を生き抜くには、どのような力が必要とされるのでしょうか?
エクスポネンシャル・テクノロジーを
俯瞰する力を身につけよ
「エクスポネンシャル・テクノロジー」とは、社会基盤や産業基盤に大きな変化をもたらすテクノロジーのことを指します。
本書では2018年時点のトレンドとして、「ビッグデータ分析「自動運転車」「3Dプリンター」「バーチャル・リアリテイ」「拡張現実(AR)」「テレプレゼンス」など、28個が挙げられています。
その基礎的要素となる人工知能は、昨今日本でもブームのように取り沙汰されていますよね。人工知能技術者の不足や、給与水準の高騰といったニュースを聞くと、文系や非技術系の学生たちは、テクノロジーが社会を大きく変えていく流れの中で、自分がその一員に加われるのか、社会に出たあとに稼ぐ力が身につくのだろうかと不安に思うかもしれません。
しかし著者は、これからの時代に必要なのは、個別のテクノロジーの細かい点を見ることではなく、エクスポネンシャル・テクノロジーを俯瞰する力であるといいます。
これはひとつの分野に偏ることなく、あるテクノロジーが他のテクノロジーとどう絡み合い、地球・人類・社会に「どのようなインパクトを及ぼすのか」にフォーカスするということです。
技術そのものを知らなくても、そのインパクトが理解できれいればいい。簡単に言えば、「全体として追うことができているか、理解しているか」が重要だということです。
なぜならエクスポネンシャルなスピードで変化が起こる世の中では、ひとつの技術に特化して専門化し過ぎても、他の全く違った技術をもって一瞬にして破壊され追い越される可能性があるからです。
たとえば「バーチャル・リアリティ」や「遠隔操作」「感覚のフィードバック」などを介した「テレプレゼンス」が現実化すると、地球の裏側に置いたロボットに五感を転送して操作し、あたかも自分がそこにいるように共に旅行をしたり、一緒に作業をしたり、人と会ったりできるようになるといいます。
すると現実世界での移動を破壊する可能性があり、それによって大量輸送や高速移動を前提としたモビリティのために今開発されている技術が、一瞬にして無駄になるかもしれないのです。
だからこそ、一過性のブームにとらわれずに、テクノロジー全体を俯瞰する力を磨き続けることが何よりも大切なのです。そして「むしろ特定分野に固定されない非技術系だからこそエクスポネンシャル・テクノロジー全体を俯瞰する力を得やすいのではないか」と著者は言います。
ちなみに、遠隔に意識を飛ばしたうえで、リアルにそこにいるのと同様の活動がロボットで行えるようになれば、たとえば人間の肉体を直接火星へ運ばずとも、アバターと呼ばれるテレプレゼンスロボットを送り込んでバーチャルで体験することも可能になるそうです。
現時点では、「バカげたアイデア」だと思われるかもしれません。しかしテクノロジー全体を俯瞰すると見方が変わり、意外と実現できる可能性もあると考えられるようになるのだといいます。
傍観者ではなくイノベーターになろう
かつての人類は何世代もかけた技術革新によって、革命を起こしてきました。たとえば、矢じりの発明、農耕技術の発展、文字の発明などは、何世代にもわたり長時間かけて起こった革新です。しかし私たちは、一生の間に多くの革新を体感することができる時代を生きています。
だからこそ著者は、「この時代に生きるのであれば、傍観するだけのオブザーバーになるのではなく、自らの未来を創り、良いシンギュラリティを積極的に起こす側に立つイノベーターになるべき」だと提案します。
そして、そのために必要なのがエクスポネンシャル・テクノロジー俯瞰力なのです。
本書では、28個のテクノロジーをランダムに掛け合わせて「ぶっ飛んだアイデア」を生み出すというワークショップが用意されています。
これを実践すれば、だんだんとリミッターが外れて、思考が柔軟になっていき、イノベーターとしての視点や意識が芽生えるようになっていくことでしょう。
まとめ
本書を読むと、エクスポネンシャル・テクノロジー俯瞰力を身につけることは、未来に対する漠然とした不安を解消するとともに、新たな事業やキャリアの創出を可能にするものであることがわかります。
まずは僕も、本書で挙げられている28個のテクノロジーの基本について知ることから始め、「エクスポネンシャル・テクノロジーを俯瞰できるようになりたいと思います。
激動の時代を生きることに不安はあるものの、テクノロジーをうまく使いこなして未来をワクワクするものに変えたいと思っている人は、そのヒントを得ることができる一冊です。