常識はずれの本屋「天狼院書店」の秘伝!7つのマーケティング・クリエーション

常識はずれの本屋「天狼院書店」の秘伝!7つのマーケティング・クリエーション




 目の前に2冊の本があります。どちらも黒いカバーで包まれ、著者もタイトルも、もちろんストーリーもわかりません。

 添えられた紹介文には、この本に出会った人物、書店の店主の喜びや驚きが書かれています。

 さて、あなたはこの本を買いますか? 値段は2冊セットで約3,000円です。

 こんにちは。365日マーケティングのことばかり考えている、マーケターTKです。

 「中身のわからない本」は、ある書店が「秘本」と呼ぶ本のマーケティング手法です。2冊セットのこの本は400セット以上売れ、売り上げは120万円を超えたと言います。そんなとんでもない書店の名前は「天狼院書店」

 池袋から徒歩10分弱、蕎麦屋の2階の小じんまりとした店舗から始まり、福岡、京都、池袋2号店など、次々と店舗数を増やしています。出版業が逆風の時代といわれるなか、なぜそんなことが可能なのか?

 店主の三浦崇典氏が駆使しているマーケティングメソッド「7つのマーケティング・クリエーション」を本にしたのが、今回ご紹介する『殺し屋のマーケティング』です。ミステリー仕立てで、超・実践的なマーケティング・メソッドを手に入れることができる一冊となっています。

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マーケティングはミステリーが似合う?

 いわゆるストーリー仕立てのビジネス書は、読みやすさもあって最近よく見かけるようになりました。たいていは企業で働く主人公が悩んでいるところ、ベテラン(老紳士もよくあります)が声をかけ、対話を通して悩みを解決していくものです。

 本書の主人公は、女子大生の桐生七海(きりゅう・ななみ)。女子大生が主人公のビジネス書は過去にもありました。しかし彼女が目指すのは「受注数世界一の殺し屋の会社」。つまりマーケティングと言っても、「殺し屋」のマーケティングの話なのです。なんという奇抜な設定でしょう。「営業」「広告」「PR」といった通常のマーケティング手段が使えない、いわば「マーケティングの三重苦」の状況にあるわけです。普通に考えて無理でしょう。

 そんな彼女の相談に応じるのが【天王星書店】店主、西城潤(さいじょう・うるお)。著者である天狼院書店の店主自らをモデルにしたであろう西城は、この世界では「伝説のマーケティング・マネージャー」と呼ばれています。

 彼と七海とのやりとりを通して、「7つのマーケティング・クリエーション」が語られていきます。舞台は「殺し屋」が暗躍する現代日本。2人のほかにも魅力的な人物がたくさん登場します。

  • スナイパー:日向涼(ひなた・りょう)
  • 美人チェリスト:山村詩織(やまむら・しおり)
  • 天才心臓外科医:藤野楓(ふじの・かえで)
  • Webメディア編集長:秋山明良(あきやま・あきよし)
  • フリーアナウンサー:相川響妃(あいかわ・ひびき)

 物語は、池袋の東京芸術劇場。リサイタル中の殺害を予告された山村詩織からの依頼で、桐生七海が護衛につくところから始まります。リサイタル会場には、多くの人々が集まり、ストーリーはゆっくり、そして激しく動き始めます。

 物語の行く末は、ぜひ本書でご確認下さい。



「7つのマーケティング・クリエーション」

 巻末には、付録としてマーケティングメソッド「7つのマーケティング・クリエーション」がついています。全415ページのうち、わずか15ページしかないのですが、少なさを感じさせません。ストーリーの中に登場したメソッドのエッセンスについて、凝縮してまとめられているからでしょう。

 以下、7つのマーケティング要素についてご紹介します。

  1. ストーリー = 旅立ちの理由
  2. コンテンツ = 商品
  3. モデル = 仕組み
  4. エビデンス = 実数値
  5. スパイラル = 上昇螺旋
  6. ブランド = 信頼
  7. アトモスフィア = 空気

 ビジネスを始めるときは、まず旅立つための理由=「ストーリー」が重要です。これが土台となり、「コンテンツ(商品)」、「モデル(仕組み)」、「エビデンス(実数値)」を有機的に機能させていくことで、そこに強烈な上昇気流ともいうべき「スパイラル」が生じ、それがやがて「ブランド」になります。

 さらに高い品質で「ブランド」を維持し続けると、爆発的な需要拡大、「ブーム」が生じます。「ブーム」を発生させるための空気が「アトモスフィア」です。

 図に表すと、こうなります。

 これまでのマーケティングモデルと違い、「コンテンツ」と一体化されがちな「エビデンス」が独立していることや、「プライス」がないのがユニークです。

 著者は、もし自分のビジネスがうまくいってないとすれば、この7つの要素のいずれかに問題が生じていると考えるそうです。そのおかげで、これまで9回あった倒産の危機を、マーケティングで乗り越えることができたのだとか。

 では、これら「7つのマーケティング・クリエーション」を、書評サイト「美女読書」に当てはめて考えてみましょう。

7つのマーケティング・クリエーションで「美女読書」を斬る!

 7つの要素を、ライターTKの想像で洗い出します。

  • ストーリー:もっといい本に出会ってほしいという管理人の想い。(すてきな美女に思わず目を向けてしまうように、読書の学びにも目を向けてほしい)
  • コンテンツ:美女のビジュアルと、管理人の編集スキルによって編集された高品質の書評。
  • モデル:書評によって本への注目度・関心度をアップさせ、本の読者を増やす。書評の制作は、ビジネス書好きのライターが集まったオンラインサロン「美女読書編集室」で行う。
  • エビデンス:1記事あたり約5,000PV(過去、最大で1記事で27万PVの実績あり)。月間の書評配信本数も増加中。(2018年1月に14本、2月に16本、3月に26本)
  • スパイラル:編集者の指導によって成長したライターたちによる高品質な書評本数の増加と、アクセス増に伴う「美女読書」のメディアパワーの増大。
  • ブランド:書評の依頼が殺到し、書評ライターの希望者も殺到する。
  • アトモスフィア:美女をきっかけにした読書によって課題を解決する人が増え、読書によるインプットと書評記事を書くことによるアウトプットを通した学びが高く評価される。

 といったところでしょうか。このように、自分のビジネスについて7つの構成要素を洗い出し、どこがうまくいっていて、どこに問題があるのか? を把握することが、マーケティング戦略の基本となってきます。

 「常識はずれ」の書店のメソッドといいましたが、どんなビジネスにも応用可能です。この本は、ミステリー小説を通して「7つのマーケティング・クリエーション」のメソッドとその応用方法を知ることができる、稀有なマーケティング書です。

 どうぞお楽しみください。

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