去る2017年12月5日、将棋棋戦のひとつ「竜王戦」でタイトルを奪取し、「永世7冠」の偉業を達成した将棋棋士羽生善治二冠(竜王、棋聖)。
その羽生さんが、とある著書で 「ものごとは単純に考える」 とおっしゃっていました。
考え方というのは、自分で意識して学習、実践していかないと身についていかないものです。たとえば会社の研修などで、ケーススタディを通して仕事の内容を学ぶことはあっても、問題解決のための考え方そのものを学ぶことは少ないのではないでしょうか。
今回、シンプルにものごとを考える方法が学びたいと思い、『複雑な問題が一瞬でシンプルになる 2軸思考』を手に取りました。
「2軸思考」とは、IBMでシステム開発のプロジェクトに関わってきた著者が「タテ軸とヨコ軸、2本の線を引いて、あらゆる物事、情報をシンプルに整理する」方法として提唱するフレームワークです。
フレームワークと聞くと、「使い方がよくわからない」「仕事の現場では役に立たない」というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし著者は、「フレームワークこそが天才ではない『普通の人』にとっての最大の武器」であると言います。
なぜならフレームワークとは、ビジネスで成果を上げるために役立つ考え方を、誰もが使い回せるようにシンプルに体系化した枠組みだからです。
2軸でシンプルに整理すると、その問題の重要なポイントがクリアになるので、重要なポイントに集中して深く考えることができるようになります。その裏返しで「重要でないこと」も明確になるので、考える必要のないことは切り捨てることができ、解決までのスピードが速くなります。
ものごとをシンプルに考えるというのは、日頃から訓練していないと難しいですよね。そのための有効な手段があるのなら、ぜひ使ってみたいものです。
「2軸思考」の具体的な使い方は、コチラの記事を読んでみてください。
この記事では、そもそもなぜ「2軸思考」で考える必要があるのか、そしてそのメリットは何なのかについてお伝えしたいと思います。
「即行動」がいいとは限らない
問題を複雑なまま捉えている人は、次のような行動をしてしまいがちです。
- 思いつきや衝動で動く
- 目の前のトラブルだけを見て動き出す
- とりあえずやってみる
これは自分にも思い当たりました…。
経験したことのない局面に陥るほど、何から手をつけたらいいのかわからず、頭の中が混乱して、段取りが悪く二度手間になってしまうことが多かったのです。
「動く前に考える」ことの重要性はわかっていても、いざ困難な問題を目の前にしたときに「どのように考えたらよいかわからない」という人は多いと思います。
多くの企業では「どう手を動かすか」という作業マニュアルは教えてくれても、「頭の中でどう考えるか」という思考法までは教えてくれません。
では、どうすればよいのか? 著者は、「最速」でゴールにたどり着くための原則として、次の3つを意識しているといいます。
最速で問題を解決する3原則
原則① 考える枠を決める
ものごとを考えるとき、「何もない状態から考える」のと、「考えるべきことが決まっている」場合、どちらが考えやすいでしょうか?
もちろん後者ですよね。毎回、白紙のゼロベースから考えるのではなく、考えるべき「枠」を作っておくことで、何を考えればよいかが明確になります。
「いま何を考えればいいか」がシンプルかつクリアになるので、戸惑うことがなくなるのです。この「枠」を作るというのが「2軸思考」の考え方です。
原則② 全体像を捉える
仕事をする上で大切なのは、まず「全体を把握する」こと、そして「その中から重要度を見極めること」だと著者は言います。
なぜなら仕事全体の流れがわからなければ、何から手をつけるべきなのか判断できないからです。
「2軸思考」を使って情報を整理すれば、仕事の全体像を把握することができます。
最初に仕事の全体像を押さえた上で到達すべきゴールを決め、そこから逆算して手段や到達方法を考える。そこからようやく「さあ仕事に着手!」という流れが理想なのです。
原則③ ムダに考えない
情報を「枠」で整理し、全体像を把握すると、これまで雑多だった情報がすべてきれいに可視化されます。すると何が重要で、何が重要でないかが分かるので、重要なものだけを「選択」し「集中」して掘り下げることができます。
一番良くないのは、重要度の判断をせず、なんとなく全体を考えること。限られた思考時間を、ムダな検討にかけるのではなく、効果の高い重要なことだけに費やすことで、仕事の成果は大きく変わってきます。
2軸思考の5つのメリット
「2軸思考」を使うメリットとして、著者は次の5つを挙げています。
- 「悩む時間」がなくなる
- 「即断即決」できる
- 「新しいアイデア」を生み出せる
- 「わかりやすい説明」ができる
- 「わかりやすい資料」を速く作成できる
私が実際に使ってみて特に効果を感じたメリットは、①「悩む時間がなくなる」です。
資料、リスト作成の際に紙に書き出すという作業はこれまでにもしたことがありますが、書き出したはいいけどそれをどのようにまとめ直すかという部分で、無駄な時間を費やしてしまってました。
「2軸に整理する」というフレームワークを使うことで、やるべきことが明確になり、また情報を整理しやすくなるので悩む時間がなくなるのです。
メモを取る際も、2軸思考を使って
- 期限の決まっていること
- チームで共有すること
- 注意事項
など項目を分けると、状況をシンプルに考える枠組みを作ることができます。
「ものごとをシンプルに考えるのが苦手」というあなた、2軸思考を試してみませんか?