代官山 蔦屋書店の”居心地”の良さから読み解く、これからはデザイナーしか生き残れない理由。

代官山 蔦屋書店の”居心地”の良さから読み解く、これからはデザイナーしか生き残れない理由。




 美女読書×レースクイーンのコラボ企画では、普段外見磨きが求められるお仕事をしている9名のモデルさんに、内面磨きやお仕事のお悩み解決に役立つビジネス書を紹介していきます。6人目は、神田梨絵さん。



これからはデザイナー以外生き残れない?

 「将来はケーキ屋さんになりたいです!」と熱弁する神田さんには、『知的資本論 すべての企業がデザイナー集団になる未来』を紹介。

 著者は、代官山 蔦屋書店や武雄市図書館など多くの人々を魅了する空間を生み出し続ける、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)社長の増田宗昭さん。本書で語られる「顧客価値を最大化する企画の考え方」は、ケーキ屋に限らず、どんな商売を始める上でも役に立つビジネスの本質を学ぶことができます。

 増田さんは「企業はすべて、デザイナーの集団となる。そうなれない会社は、これからのビジネスシーンで成功をおさめることは、できない」と主張します。

 なぜなら、モノが溢れる現代においては、顧客価値を高めるための「提案力」が求められ、それを可視化する能力こそ「デザイン」の営みだからです。

 これからは「デザインは専門のデザイナーに任せればいい」という態度は通用しなくなり、全ての人がデザイナーにならなければ生き残れないと言います。

 本書のタイトルでもある「知的資本」とは、こうした「提案力」や「デザイン」、その精度を高めるためのデータベース、ひいてはそれらを顧客価値へと転換させるための組織体制やシステムのことを指しています。

 こうした知的資本がどれだけ社内に蓄積されているか、それが企業の命運を分けることになるのです。

 今回は、代官山 蔦屋書店の企画・空間設計から、なぜ「デザイナーしか生き残れない」と言えるのかについて掘り下げて紹介します。

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なぜ代官山 蔦屋書店は居心地がよいのか?

 代官山 蔦屋書店に行かれた方はその居心地のよさに驚くでしょう。そこには「知的資本」という観点から緻密に設計された意図があります。

1. ヒューマンスケールな空間づくり。

 一つは「ヒューマンスケール」な空間設計がなされているということ。

 ヒューマンスケールとは、「人間の感覚に適した空間の規模や物の大きさ」のことを指します。

 代官山 蔦屋書店では、「人はあまりに広い空間の中に放り出されると、不安になる」という考えのもと、あえて全貌が見えない設計にすることで、ヒューマンスケールの空間を構築しています。

 全3号館あるにも関わらず、それぞれの棟の端の位置を微妙にずらして死角を生み出し、訪れた人の目に”部分”しか映らないように構成されているのは、こうした意図からだと言います。

 ネットで人と人とがつながる社会では、リアルな場所に人を集めるためには、絶対にネット上にはないものを、意識して取り込んでいくしかない。それは風であったり光であったり、そしてそれらが創り出す”居心地よさ”なんだ。

 
 ちなみに増田さんは、この考えを組織づくりにも当てはめ、大きくなりすぎたCCCという組織をより機動的にするために、2014年に分社化を行っています。

 組織が適正サイズを越えて大きくなると、(中略)知的資本を蓄積することはできても、それを顧客価値へと転換させるシステムが機能不全になる可能性が高まるのではないかと考えた。簡単にいえば、宝の持ち腐れになるということだ。

 「人が心地よいと感じられるスケール。仲間との一体感が持てるスケール。そしてその中にあって、人が自由でいられることができるスケール」の組織であることが、顧客価値を拡大するための企画を生み出しやすくするということです。



2. 本ではなく、ライフスタイルを売る。

 代官山 蔦屋書店のもう一つの特徴は、書店を「本を売る場所」ではなく「ライフスタイルを提案する場所」と考えている点です。

 私はこの30年間、TSUTATAの商材がDVDやCD(中略)、あるいは本や雑誌だと思ったことは、一度もない。そうした個々のモノではなく、あくまでもそれらの中に表現されているライフスタイルを、顧客に提供しているのだと私は思ってきた。

 一般的な書店では、雑誌、単行本、文庫本、新書といった分類で書棚が配置されていますが、これでは、例えば「旅」というテーマで本を探しているとき、それぞれのコーナーを行き来しながら探さなければなりません。

 一方、代官山 蔦屋書店では、旅、食・料理、人文・文学、デザイン・建築、アート、クルマといったジャンルごとにゾーンが設けられ、さらにその中でも内容の親しい物が、単行本や文庫本といった枠を飛び越えて、横断的に固められています。

 例えば”ヨーロッパを旅するなら、こんな文化に触れて見てはどうですか?”とか、”健康を考えるなら、日々の食事をこう作ってみたらどうですか?”とかいった提案そのものを、訪れた人は受け取ることができるのだ。

 こうした顧客ニーズを第一に考えた場所づくりによって「ライフスタイルの提案」を実現し、書店空間としての居心地の良さを作っています。

3. 「コンシェルジュ」の存在。

 しかし、この「提案内容によるゾーン展開」を具現化するのは簡単なことではないと増田さんは言います。

 「顧客の胸に刺さりそうな提案をいくつも打ち出し、そのテーマに沿った書籍や雑誌を集めていくという仕事は、すでに高度な編集作業」であり、スタッフには、機械的に該当する場所に収納していく作業とは別次元の、特別な能力や素養が求められるためです。

 そのため代官山 蔦屋書店には、「日本を代表する出版社で女性誌の編集長を務めた編集者」や、「20冊以上のガイドブックを上梓している旅行ジャーナリスト」など、それぞれのジャンルに通暁した「コンシェルジュ」がいます。
 
 誰でも一様に管理できる分類方法ではなく、コンシェルジュのデザイン(提案力)なくして成立しない空間だからこそ、蔦屋書店には「知的資本」が蓄積され、それが顧客価値を高めることにつながっているのです。

 もちろん、従来の分類方法に慣れた顧客からすれば、元のままの方がわかりやすく、本を探すには効率的かもしれません。しかし「効率性」という土壌において、リアル書店がAmazonに勝つことはできないでしょう。リアル書店に求められるのは、人を豊かな気持ちにさせる、”居心地”のよい空間づくりではないでしょうか。

 この「ネット時代におけるリアル店舗の意味」については、本書の「転」の章に詳しく書かれています。興味のある方はぜひ手にとって読んでみてください。

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モデルプロフィール

・名前     :神田梨絵
・生年月日   :1988.1.12
・出身     :静岡県
・職業     :レースクイーン
・Twitter   :@riekanda

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