週刊少年サンデー初代編集長・豊田きいち氏が語る「いい編集者」の条件とは?

週刊少年サンデー初代編集長・豊田きいち氏が語る「いい編集者」の条件とは?

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「いい編集者」の条件とは?

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 相次ぐ有名雑誌の休刊や書店の販売不振など、出版業界に押し寄せる変化の波は一層厳しさを増してきています。

 生き残るためには、これまで通りのやり方で、これまで通りの本作りをしているだけでは不十分。今の時代に合った新しい発想で企画が立てられる有能な「編集者」が求められています。

 最近はキュレーションメディアやバイラルメディアといった新しいWebメディアが数多く立ち上がり、「編集者」という肩書をもつ人間が増えてきました。そんな今だからこそ、「編集者の仕事とは何か」「編集者に求められる資質とは何か」といった、根源的な問いについて深く見つめ直す必要があるのではないでしょうか。

 今回紹介するのは、昭和34年に創刊された『週刊少年サンデー』の初代編集長・豊田きいちさんへのインタビューをまとめた『編集 -悪い本ほどすぐできる 良い本ほどむずかしい-』です。

 豊田さんは本書の編集中、2013年の1月10日に亡くなってしまわれましたが、「編集者の心得」や「言葉の大切さ」について惜しみなく語ってくれている本書は、出版に関わる人はもちろん、Webメディア編集者やライターなど、言葉を扱う仕事をしているすべての人に読んでいただきたい一冊です。

 今回は、フリーアナウンサーとして活躍する堀江聖夏(みな)さんと一緒に、編集者に求められる資質についてご紹介します。

美女読書さん(@bijodoku)が投稿した動画

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編集者に大切なのは「連想能力」

 豊田さんの考えるいい編集者とは、「連想能力がある編集者」です。

 連想能力は企画を立てるために最も重要な素質だといいます。なぜならこれがあれば、何を見ても、何を読んでも、どこからでも企画に結びつけることができるからです。

 「連想」ができる編集者は、企画に対する構え方が違うので、ひとつ企画が生まれれば、そこから10個、それ以上の企画を連想することができるといいます。

 編集者は、仕事でも遊びでも、常に連想ということを意識し、どんなことでも、いい企画に結びつけなくてはならない。連想を習癖として身につけていれば、企画が立てやすくなる。連想能力があるかないかで、編集者の価値が、A級B級C級というランキングになっていくのである。

 連想することは相手の心を理解することです。著作者や読者、プロジェクトメンバーや上司といった「人」の心を読むことのできない編集者に、心に訴える企画は立てられません。

 連想の習慣を身につけていれば、人の心が読めるようになります。良い企画を生むためには、連想の限りを尽くして、相手の心を理解することが重要なのです。

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1. タクシーの運転手との会話から連想する

 では具体的に、連想によって企画を立てるとはどういうことなのか。本書の例を2つ紹介します。

 編集者は仕事上、学者やクリエイター、会社社長など、さまざまな人と話をしなければなりません。そのため豊田さんは、タクシーに乗ると必ず運転手さんに話しかけて、人と話す訓練をしていたといいます。

 そのときに必ず訊くのが「メシのこと」。一日中外周りをしている運転手さんは、いつ、どこで、どんな食事をしているのか。単純に興味があって訊くわけですが、当然運転手さんの中には話し好きな人もいれば無口な人もいるので、同じことを訊いても人によって反応が違います。

 相手に合わせたコミュニケーションが必要になるので、会話を引き出す力が磨かれるし、それによって発想も広がっていきます。
 
 こうしてタクシーを降りる頃には、すでに「東京のタクシードライバーが好きな店」とか、「運転手が知っている東京のうまいラーメンや・30軒」とか、「タクシードライバーが見つけた500円でおつりがくる定食屋」といった本のアイデアができあがります。

 タクシードライバーとの何気ない会話であっても、聞き上手になれば企画のネタを集めることができるということです。

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2. テレビの看護師特集から連想する

 2つ目は、たまたまテレビでやっていた看護師の特集を観て、「看護師さんが、個人的に買う薬は何だろう」と思ったことから連想がスタートします。

・病院で処方される薬ではなく、市販されている薬でどんな薬を買っているのか?

・薬局からの連想で、化粧品は、どのメーカーの、どんなモノを買うのか?

・おそらく看護師さんは仕事柄、患者さんより派手にしてはいけないはず。とはいえあまり地味すぎてもよくないので、看護師ならではの職業的なファッション感覚があるはず。

・数日後、病院に行って順番を待っている間に、目の前を通り過ぎる看護師さんたちの足元を見ていると、みんながみんな同じ靴を履いているわけではないことに気づく。

・個々に違う靴を履いているということは、病院から支給されているわけではなさそう。しかし、どの人も足音がしない、長時間立っていても疲れなさそうな、動きやすい靴を履いている。

・「看護師さんが選ぶ靴」という本が作れるかも。あるいは健康雑誌の特集記事でもOK。

 このように、テレビの特集がきっかけで看護師さんにまつわる情報に興味をもち、連想を重ねた結果、最終的に「ナースシューズ」の企画ネタにまでつながっていきます。

 もちろん、アイデアが面白くても売れなければ「いい企画」とはいえないので、買ってくれる人がどれくらいいるのか、想定値を計算することも重要です。

 この場合、日本中に看護師が何人いるのかを考えます。全国に30万人いるとして、一割で3万人、1%で3000人。3000人にしか売れないような企画なら無理だけど、3万部だったら本を作っても見合うかな、のように概算していきます。

 タクシーに乗らなくても、病院に行かなくても、連想能力があれば、日常の些細な疑問や気づきから、いくらでも企画を生み出すことができるのです。

 よい編集者は、「仕事をしている時も、遊んでいる時も、飲んでいる時も、いつでも、どこでも、どんな時でも、どんなことからでも、発想を膨らませ、考え続けること」が習慣となっています。




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連想能力が、編集者を「差別化」する

 こうした連想能力の有無は、編集者としての「差別化」にもつながります。というのも、豊田さん曰く、連想能力が優れた編集者というのは10人中1人くらいしかいないからです。

 高い連想能力は、豊富な語彙力なしには成り立ちません。そして語彙を増やすためには、雑読、雑学によって「培質」することが大切だといいます。

 「培質」とは豊田さんの造語で、生まれながら持っている天性の「資質」とは対極にある、後天的に身につけた資質のことを指します。常に言葉を意識し、言葉を粗末にしないことが、連想能力を高め、他の編集者との差別化を図ることになります。

 差別化というのは個性である。オリジナルの創意である。他者と差別化された何かを持っていることである。編集者には、この「何か」が重要なのである。

 本書では、言葉の扱い方や編集者としての姿勢について、かなり細かく具体的な指摘もなされています。言葉にかかわる仕事に就きたいと考えている人は、ぜひ手にとって読んでみてください。

ライター:渡邊
カメラマン:こば犬

モデルプロフィール

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・名前     :堀江聖夏(みな)
・生年月日   :1993.7.14
・出身     :東京都
・職業     :フリーアナウンサー
将来の夢    :太陽みたいなお天気アナウンサー
・Twitter   :@0714_lovelys
・instagram  :@horie_mina_official

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おまけ

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